HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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ホップ、ステップ、Frank Zappa - Keep It Greasy (You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3)

Hi-ho Silver!!http://www.zappa.com/messageboard/viewtopic.php?f=1&t=13712)ということで、引き続いてZappaのお時間です!

 

前回の記事

yujihb.hatenablog.com

 

前回の投稿での紹介のために、ひさびさにZappaを聞いたら懐かしくて、他のZappaの曲もあらかた聞きなおしたのだった。いやあナツいなあ。

 

今回楽譜に起こした「Keep It Greasy」。一体どんな拍子になっているのか、近いうちに採譜して楽譜に書いておこう、なんて思っていたのが高校生くらいのときだったか。あれからウン十年。やっといまココに実現す!


アルバム「Joe's Garage」に収録のオリジナル(初回リリース?)では、なんと人類史上初の拍子、19/16と21/16が登場する。一旦それは次回以降にとっておいて、今回はアルバム「You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3」に収録されているライブ録音のバージョンをお届け。そのサウンド等から推測するにドラマーはおそらく「Chad Wackerman」だ。

You Can`T Do That On Stage Anymore,Vol 3

You Can`T Do That On Stage Anymore,Vol 3

 

 

曲全体はオリジナルバージョンとは大きく違ったストレートフォーワードなリズムとなっており、リズムギターやサックス、またキメのリズムによりグルーヴィーかつ疾走感のある曲に仕上がっている。しつこく繰り返される「Hi-ho Silver!!」で大爆笑ってのもライブ感があっておかしみがある。

以下の部分は、オリジナルだと19/16になっているセクション。大胆にもシンプルに4/4に書き直し、キメもオリジナルとは全く別のものが置かれている。

 

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赤い音符の部分がキメのリズムである。楽譜は伝統的に白黒で全て表現しなくてはならないので、色で表現できるってのは新鮮だ。

採譜してみると、4/4であったことが少し意外であった。特に3小節目は拍子が変わってるんじゃなかろうかとボンヤリ想像していたが、キメが3小節目の一拍目にめり込んでいるだけで、ずっと4/4だったことが分かった。ウン十年来のタスクが無事完了。満足じゃったのでドラムプレイの解説は省略!

 

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絶対に失敗しない Frank Zappa - St. Alfonzo's Pancake Breakfast マニュアル

Yes indeed, here we are! ということでFrank Zappaの時間です!

説明が長くなるので詳しいことはWikipediaなどに譲るが、Frank Zappaの楽曲は極めて難解なものが多いことでよく知られている。今回はバンドでのアンサンブルがとても難しい、度重なる変拍子が登場するこの曲「St. Alfonzo's Pancake Breakfast」に挑戦!

Zappaの無数のアルバムにこの曲が複数収録されているが、初回に発表されたのはおそらく1974年リリースのアルバム「Apostrophe (')」と思われる。

 

アポストロフィ(紙ジャケット仕様)

アポストロフィ(紙ジャケット仕様)

 

 
曲のアタマはヴィブラフォンのソロ。Zappaお得意の謎のフレーズで幕開けである。ライブ版にて、この曲に入るキッカケとして「あのお馴染みフレーズがやってくるぞー!次の曲はSt. Alfonzo's Pancake Breakfast!!」なんて感じでZappaが叫んでいるバージョンがあったと思う。この謎のフレーズを特に気に入っていたに違いない。

イントロ部分が終わって、a tempoになったところからのドラムはこんな感じだ!

(00:23~)

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今回はなかなか採譜が大変だった。できあがりの見た目はそうでもないように思えるのが悔しいところ!拍子の割り方はもしかしたら違うかもしれないが、ドラム以外のセクションから出来る限り推測した。

見てのとおり5/4や3/4が割りと自由に出てくる。最初の5/4のところの歌詞は「At Saint Alfonzo's Pancake Breakfast」で、この歌詞のリズムにそのまま合致することを優先して曲を作っているものと思われる。歌詞の音節が9個で、最初の8分休符1個をいれると合計で8分音符10個、ちょうど5/4となる。つまり演奏するプレイヤーのことなんか一切お構いなし!

ドラムプレイで難しいと思われるのは、2小節目や9小節目等にでてくる右手→右足を連続させて16分連打しているところ。このスピードで挟み込んで来るか!本曲のドラマーRalph Humphreyの手癖(手足癖)だと思われる。このような手足癖を持っていない場合、この通りプレイするのはちょっと神経を使うだろうね。手癖を真似するというのはそういうものである!

引き続き上記譜面の以降の部分も聞き取って見ようかな。きっと需要はないに違いない!

 

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Incognito - She Wears Black に癒される女性が急増中

今回はIncognitoのアルバム「Beneath The Surface」より「She Wears Black」をおおくりしよう!

 

ビニース・ザ・サーフェイス

ビニース・ザ・サーフェイス

 

 

当アルバムはどこを聴いてもRichard Baileyの洗練されたプレイが爆裂。いつだって私のお手本になっているのです。

 

以前も数回取り上げているのでご参考。

yujihb.hatenablog.com

 

yujihb.hatenablog.com

 


さて、本曲冒頭のフィルインからの基本パターンはコチラ。

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わりと速いテンポに乗せて左足で常にハイハットを踏み鳴らしている。このテンポでこの8分の足踏みをやってみると、体全体を使ってノラなければならないことが分かる。シンプルエレピがなにげなく醸しだす緊張感の中で、右手左手右足左足を総動員で乱れずにコーディネートさせなければならない。意外に体力が必要なプ レイである。


ここでのポイントは、右手のライドシンバルの巧みな処理にある。4分音符のアタマはライドシンバルのカップを叩き、その全ての裏拍ではライドシンバルのカップ以外の部分を16分音符で2つ刻む。大きなタイム感では4分音符のきらびやかなカップの音色が目立つところ、裏の刻みが小さな音でわずかに聞こえ、クールに流れるようなグルーヴを生んでいる。これもやってみるとわかるが、右手はかなり忙しい動きになる。しかし彼のこのプレイは忙しさを感じさせない。これぞ、水に浮かぶ白鳥の水面下のバタ足!

本曲は他にも注目したいプレイがまだまだ沢山。また別途取り上げてみたい。

 

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