そろそろ Ska-p - La Mosca Cojonera にも答えておくか
¡Hasta la victoria! ということで今回はスペインのスカパンクバンドSka-Pをご紹介。Ska-Pの読み方は「スカップ」や「スカピー」ではなく、「スカーペ」または「エスカペ」が正解だ。「スカピー」はそれはそれで耳に心地よいのだが惜しくも違うのだ。
ちなみに、わたしは 「なぜスペイン語が分かるのか」と聞かれることがある。それはSka-Pが大好きでよく聴いているうちに勉強しようと思ったからなのだった。外国語の習得は、外国のお気に入りバンドを見つけて、あとはDuolingoで補足すれば造作無い!
Ska-Pの楽曲はストレートなロックやパンクが多いのだが、時たま民族音楽的なワールドミュージック的なエスニックなエキゾチックなテイストの楽曲が登場する。それに加え、ボーカルがとんでもなく上手い。そこらのバンドとは一線を画する異次元のボーカルテクニックを持つ。そんな「ただのスカパンクバンドじゃない」感がとても興味をひくのである。なお、ボーカルの芸名は「Pulpul」である。何かの冗談なのか割りと普通なのか理解にくるしむところである。(本名は「Roberto Gañán Ojea」)
そんなSka-Pのアルバム「Planeta Eskoria」の「La Mosca Cojonera」から、ストレートなロックやパンクでないプレイに注目だ。
(00:00~)
曲の冒頭はドラムソロでつかみ、4小節目からラテン風味のパターンが登場する。ブリッジミュート(右手で軽くミュート)しながらポコポコとプレイするギターとからみあってとても軽快なセクションである。
ドラムはなんとなく複雑で手足バラバラのコーディネーションが必要そうに聞こえるかもしれないが、意外にプレイしてみるとそうでもない。ラテン系のノリのパターンにしては難易度は低い部類と思われる。ラテン系のパターンを表現するのに必要なタイミングでアクセントが付けられており、カンタンなのに複雑そうなグルーヴを効果的に醸しだしている。上記楽譜の赤い音符のスネアで特に強くアクセントを付けるのがポイントだ。
Horacio "El Negro" Hernandezのように左足を入れると、更にラテン系なパターンにはなるが、破壊的に難易度がアップするので、このように左足を入れずに雰囲気が出せるパターンはなかなか貴重である。
Horacio "El Negro" Hernandezの破壊的難易度のプレイはコチラの過去記事参照↓
なお、ライブのリハーサルなどで何気なくこのパターンを演奏してみると面白い。ライブハウスのPAさんから「セット全体でくださーい。」と言われたときに、真面目に8ビートをプレイするのではなく、このパターンをやってしまう。それを聴いた対バン(複数バンドで一緒にライブをやる際の、自分のバンド以外のバンドのこと)のドラマーには驚かれ、一目置かれること必至。超絶テクニックを持つドラマーに見えるらしい。ぜひお試しを!
「サンライト禅 - 斥力と重力 - repulsion and gravity」が日本を変える
今回は、なんともお手盛りだが、自分自分のプレイをとってもくわしくドラムレビュー!
現在わたくしがドラムパートで参加しているバンド、非常に精力的に活動中である。バンド名は「サンライト禅」。来週、落語とコラボしたライブをやるので必ずチェーーック!
さて、自分がプレイしている中でちょっと難しそうなところがあるのがこちらの曲、「斥力と重力 - repulsion and gravity」だ!
ゆったりなテンポの歌モノである。ここでご注目は、楽曲最後の部分で、キメを連続してはさんでテナーサックス、ギターのソロ、無音挿入などが次々と入った後の最後のドラムソロ部分である。楽譜にしたのがコチラ!
(3:12~)
この曲、ほとんど何も考えず、準備せずにレコーディングしたものである。レコーディングの日の気分、体調、スタジオのドラムキットの状況、室温、体温、録音エンジニアの冷たい視線。どれが欠けても発想しなかった一期一会のプレイ!
最後の部分に来るまではシンプルな演奏。そして最後の最後で突然の32分音符高速フレーズにビックリという遊びゴコロいっぱいのソロである。このレコーディングの後にも、サンライト禅でスタジオに入って何度も本曲を合わせているが、このようにプレイしたことはほとんどない。他に良さそうなフレーズが偶然自分から自ずと出てこないかなあと、毎回毎回試しているのだ。「偶然」というところがポイント。これによってふとした瞬間にイノベーションが巻き起こる可能性が!一方で、安定的に曲を固めておきたいバンドメンバーからは大層嫌われるというデメリットがあるのだった。そして、バンドメンバー中、じつに9割がその私の無計画な姿勢を大層嫌っているということも付け加えておこう!メンバーのみなさま、ごめんなさい。計画するようにします。
Maceo Parker - My Baby Loves You はじまったな
Frank Zappa(特にKeep it Greasy)があまりに連続してしまったので、この度は別のアーティストで様子を伺うとしよう。
今回は、ファンクミュージックをたしなむすべての人が避けては通れない、Maceo Parkerの登場だ!2000年に発表した彼のアルバム「Dial: M-A-C-E-O」から「My Baby Loves You」の爆発するグルーヴを聞いてみよう。
本曲のドラマーはJamal Thomas。現在はThe Jamal Thomas Bandという冠バンドで活躍中の模様である。超絶ファンクドラマーで知られる彼の本能から湧き出でるファンクグルーヴがコチラ!
同曲冒頭からのプレイ。ハイハットを両手で抑揚をつけながら、ベースに呼応したソリッドなキック!このドラムプレイに、16分自在型の超絶ソリッドなベースの動きがマッチし爆発的なグルーヴを発生させている。さらに、隠し味でコッソリと入っているマラカスのようなシャカシャカ音が非常に効果的である。
イントロの最後、歌に入る前のホーンセクションのキメに合わせたフィルインもまたグルーヴィーかつスマート。ホーンのキメの鋭さを余すこと無く活かした、胸がスカッとするプレイである。(譜面上、赤い音符がホーンのキメ)
ドラムプレイもさることながら、Maceo含むその他のバンドメンバーの熟練したプレイが、当然に超絶グルーヴを保証する。こんなバンドでプレイしてみたい!いえ、決していま私が参加するバンドのメンバーがヘタクソと言うわけでは。まさかまさか。
なお、本作のドラマーJamal Thomasを検索すると、ドラマ「Grey's Anatomy」でお馴染みの俳優が出てきたり、
フットボールチーム「Aston Villa」のユースを育てるAcademyにかつて所属していたが罪を犯した人が出てきたりするが、
双方ともまったくの別人である。本物はここに紹介されているのでチェック!