David Sylvian - Pulling Punches 道は死ぬことと見つけたり
キミのドラムライフの調子はどうだい?
さて前回はJapanの楽曲を取り上げてみて、Steve Jansenがなんだか気になってしまったので、今回もまたシツコくSteve Jansenのプレイを見てみよう!
今回はDavid Sylvianのソロアルバム「Brilliant Trees」に収録の1曲目「Pulling Punches」。そう、Steve Jansenが参加していたJapanのDavid Sylvianである。そのあたりのメンバーの確執とか精神面の変化とかは詳しい人が居ると思うので割愛させてもらい、単純に聞こえた音で勝負だ!
(前回の記事)
冒頭からのプレイがコチラ。
(0:00~)
一拍目8分裏のオーケストラヒットのアクセントや、クローズハイハットのアクセントが一風変わった位置にあって人工的な印象である。このような人工的パターンが曲の各展開(Aメロ、Bメロ、サビなど)ですべて計画的に作られており、一曲を通してかなり忠実に守られている。
そのあとBメロからのプレイがコチラ。
(1:02~)
4小節目、サビに入る前のタムとスネアのフィルインから、ミュート気味のチャイナがサビ頭で破裂ッ!(譜面上赤字にしているところ。)
まずは前回同様、ここでも力強いチャイナシンバルがただただ単純にカッコイイー!曲が展開する小節アタマがクラッシュシンバルではないところが、多くの歌モノ曲とは一線を画するところである。
その直後の譜面。サビの中に挿入されている4分の2が意表を突く!
タ、、、ドコ、、!!意表を突いたこの譜割りに、タムにアクセントで表情を付けただけのシンプルなフィルイン!センスある~。意表を突かれすぎて譜面上ピンク色にしてしまったよ。シンプルだからこそうま味がでてるな~これは。譜面上赤字にしているところのチャイナシンバルが如何に力強く破裂しているかにも留意!
当アルバム「Brilliant Trees」の他の曲を聞いてみると、細かいところまでかなり計画的だ(なかでも「Nostalgia」は特に著しい)。打ち込みでループさせているかのようだ。しかしループを本当に使いはしないのだ。きっとこれを生身でリアルタイムでプレイするのがSteve Jansenは好きなのだと思う。マゾヒスティックなのではなく、メディテーション。ループを打ち出すマシーンになりきって淡々と演奏し、彼は深い瞑想に入っていることであろう。
生物と無生物と Japan - Visions of China のあいだ
暮も押し迫り、2016年が終了しようとしているところ。個人的には極めて激動の年だったのだがあなたはいかが?先日の引越も無事に後処理が収束したので久々に。
今回は、暮れが押し迫っているのとはぜんぜん無関係に、きっとみんな懐かしい「Japan」のアルバム「Tin Drum」(錻力の太鼓)から「Visions of China」!
「Japan」がバンド名なのだよ!「アジアのどこか知らない国の名前がバンド名ってちょっとひねった感じがよくない?」などといいながら命名したのだろうか。そのあたりのエピソードが有るのかもしれないが一旦置いておこう。
さてドラムの方はどうかというと、Steve Jansenの熟考したプレイが、曲名のイメージ通りの中華風イメージを掻き立てている。コチラ!
(2:12~)
サウンドを聞く限り、生ドラムなのかどうか難しいところだが、微妙にゴーストノートが聞こえるので、おそらく人間が叩いているのではないかと推測している。録音した後で、何かそれっぽいオリエンタルなタムの音をかぶせているようだ。
この曲は何と言っても、チャイナシンバルが肝である。(楽譜で赤字にしているところ。)Visions of ChinaでChina Cymbalとはストレート過ぎるきらいもあるが、まさにイメージ通りの中華風サウンド。4小節目の4拍目裏と次のアタマのチャイナの連続2発がシンプルにカッコイイー!
そして、サビ後のAメロに戻るところ。サビ後に楽器が少なくなっていって、ドラムソロ的になるのだが、これがとってもスペイシー!(空間がある)
(0:57~)
ポコッポコ、ポコッポコ、ポコッポド、、、、、、、、、、、、、、、、
これは!せっかくAメロに戻るってのに2拍以上も何も演奏しない!スペースを活かしたセンスあるプレイである。無駄に叩かない。空間があるからといって埋めなくてはいけない道理はない!
当時この曲をよく聴いていた時期には、身近にチャイナシンバルが無く、またお金もなかったので、割れたシンバルと他のシンバルを重ねて試行錯誤してチャイナシンバルのような音が出る偽楽器を自作したのを思い出す。このサウンドにとても飢えていたのである。いま現在チャイナシンバルを担いで持っていって常時バンドで使っているのは当時の飢えを克服したことによるリバウンドだ。わたしのチャイナシンバルの使い方の原点はこの曲(とKing CrimsonのRed)にある。キミにもきっとあるであろう、そんな原点の曲が!
Missing Persons - No Way Out が好きでごめんなさい
秋を感じる間もなく一気に寒くなりましたね。
さて、今回はまたまた大先生の登場。Terry Bozzioの計画的ドラミングを確認してみよう!
かつてシンセ・ポップと呼ばれたらしいMissing Personsのアルバム「Spring Session M」から「No Way Out」!
Missing Personsでとても元気に歌っているボーカルのオネエチャンは、Terry Bozzioの当時の奥様、Dale Bozzioである。夫婦でバンドに参加していて、夫婦であることによる信頼関係や親密さがなんとなく楽曲にも影響を与えているような気がする。そんなバンドが日本のバンドでもちらほらあるね。
最近知ったのが、Terry Bozzioの現在の奥様は日本人で、Mayumi Bozzioさんらしい。Dale Bozzioの自由奔放な印象が強かったので(?)日本人というのはちょっと驚いた。それにしても、Bozzioという名字はいいね。名乗りたい。結婚してくれ!同性結婚がダメなら養子に入れることもご検討いただきたい。
それでは本曲の冒頭あたりから。4拍子-7拍子という不思議な譜割りで始まる。
見ての通り5拍子やら7拍子やらがさも当然のようにはさまれた構成となっている。それもそのはず、参加ミュージシャンはFrank Zappa関係者がたくさん。ギターはWarren Cuccurullo、ベースはPatrick O'Hearn。Warren CuccurulloとBozzio夫妻が主に作曲している。
打ち込みは使わずすべて生楽器でプレイされているが、全体を通してメカニカルで機械的な印象だ。クラシックなどを除き、ドラム演奏は自由にアドリブを入れることがほとんどなので、楽譜上繰り返し記号が使えることは少ない。楽譜にシッカリと書きおろし、計画されたプレイであることが確認できる。ダル・セーニョとか繰り返しの「1. 「2.って記号初めて使ったね。そんな楽譜に書き下ろされたものを着実に間違えずに演奏する様子はとても真面目である。
今回、なぜだかTerry Bozzioの当時の奥さんが改めて気になってしまったので、またその話に戻るが、現在もDale Bozzioという名前で活動しているという。Wikipediaを見てみると、Terry Bozzioとは1986年に離婚したが名字は残しているのだそうだ。やはり、Bozzioという名字はいいね!自分ももし養子から外れてしまったら残すであろう。
Dale Bozzio - Wikipedia - Personal life