HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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片手にピストル、心に Steve Vai - Kill The Guy With The Ball

わたしの尊敬するギタリストであるSteve Vaiが再登場!他のアルバムとくらべて曲数が少ないミニアルバムの「Alien Love Secrets」からご紹介。全身銀粉で覆われて何を考えているのか分からないところもわたしが尊敬するところだ!

 

エイリアン・ラヴ・シークレッツ
 

 

 Alien Love Secretsといえばもちろん、ドラマーDeen Castronovoの高速テクニカルプレイがすばらしい、Kill The Guy With The Ball(邦題:殺戮の舞踏会、拙訳:死球 - あの球であいつを殺せ)。曲の冒頭の高速プレイを分析し、できるようになってみよう!

 

過去のSteve Vai関連記事はコチラ 

 

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曲はドラムのタム回しから開始。2小節目はフラムをいれたタム回しのようにも聴こえたが、スローで聞いてみるとフラムでなくシッカリと32分音符となっていた。

3小節目からは人が喋っているような奇妙なギタープレイが始まり、と同時にドラムのほうは世にも画期的なパターン。右手フロアタム、右足、左足、の3つを使って、途切れない高速3連符の重低音を実現!これを継続しながら、左手ではスネアのバックビートや、時折シンバルやタムを織り交ぜるなど変化を付ける。なお、右手フロアタム、右足、左足の存在感がありすぎて楽譜が見づらいのでスネア部分には全てアクセントを記載しております!

3連符がいっぱいで目が疲れてきた。プレイすればもちろん右手、右足、左足は限界だ。しかしここまででたった25秒の出来事である。そして奇妙なギタープレイは一段と盛り上がり、リフに入る直前でドラムの超高速フレーズで最高潮に達する! 

 

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ここまで曲の長さにして36秒。1秒あたりの採譜所要時間が過去最高レベルを記録だ。いやそんなことはどうでもよく、問題はこの17、18小節目の爆速32分音符フレーズだ。よく見てみると全くのランダムにプレイしているのではない。スネアの位置がヒントとなる(先ほどと同じく、スネアに全てアクセントを記載している)。32分音符の最初の部分を見ると、6個+4個が2回繰り返されていることがわかる。また、その6個のフレーズでは、必ずスネア+ハイタム+フロアタム+フロアタム+バスドラ+バスドラ、といったように同じ形が繰り返されている。スピードが単純に速いため難易度は高いが、このあたりをガイドとしていけば、同じように演奏することができるだろう。

 

ドラマーのDeen Castronovoを調べてみると、ドラムが超絶な上に歌も上手いらしい。さらにもっと検索上位に出てくるのが、暴行で逮捕がどうのこうのいう話題。バンドでドラムパートを表現する言い回しに、Assault and Batteryというのがあるのは不幸なことである。バッドエンドでまた来週!

 

(2017/12/7)14小節目が完全に間違っていたので訂正。

Jamiroquai - Space Cowboy が俺にもっと輝けと囁いている

Jamiroquai - Space Cowboy

今回は原点に立ち戻り(?)、アシッドジャズ的プレイを見てみることにしよう!以前も取り上げたJamiroquaiの1994年リリースのアルバム「The Return of the Space Cowboy」。CDが擦り切れるほど聞いたこのアルバムより「Space Cowboy」のアシッドでジャズなプレイを確認!

 

スペース・カウボーイの逆襲

スペース・カウボーイの逆襲

 

  

以前の記事はこちら。 

 

16分音符を基調とした細かなプレイ

マッタリと濃厚なRhodesが左右にパンニングし、Jay Kayの柔らかな浮遊するボーカルが乗ってチルアウトするサウンドである。涼しい~。そんな中、ベースとドラムパートの16分音符を基調とした細かなプレイが中々にソソる作りとなっている。ドラマーはDerrick McKenzie。彼は元々(今も?)左利きだったようで、そのためなのか、心なしか左にアクセントが付く部分がスムーズであるように思う。

 

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本曲のドラムの基本パターンでは、16ビートを両手でプレイする中に3・4拍目にハイハットオープンがウチーチーとさり気なく入る。とてもオシャレである。10小節目はフィルインを含む小節で、見ての通りハイハットとスネアがキレイに16分を埋めている。16分の手の動きそのままに省いたりしないでハイハットとスネアを行き来してフィルインを形作っているのだね。

 左手に神経を集中である

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14小節目はサビに入る直前の小節。鮮やかに16分裏のシンコペーションでのサビ入りでございます。4拍目は左手でハイハットオープンのアクセントと、直後また左手でシンバルでアクセント。この左手でのシンバルのアクセントをスムーズにプレイすることが非常に重要である(譜面上、赤字にしているシンバル)。スタジオなどにおいてある一般的なドラムのセッティングにおいては、ハイハット両手で刻みつつの左手シンバルは距離が遠くなりプレイしにくい。そのため、左のシンバルをハイタム上空ではなくハイハットの上空など、必要に応じていつもより近い位置にするとよいだろう

15小節目からはサビ。キーボードとベースに合わせるようにハイハットオープンでアクセントを付ける。16分裏の裏でめくるめくアンティシペーション、シンコペーションここでもやはり左手に神経を集中である。時折32分音符でチリチリと装飾することもお忘れなく。なお、アンティシペーションとシンコペーションの違いは下記をご参照。一言で言うと諸説あり!

バランスが取りづらいパターン

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22小節目からはベースと呼応する形での毛色の変わったセクション。8分裏のハイハットオープンをキープしつつ、すべての小節で右足だけ16分裏シンコペーションしており、さらにスネアも少し変わった位置にある。かなりバランスが取りづらいパターンであるが、変則的であるがゆえに楽曲の特徴にもなっているのでこのままコピーしてプレイしたいところだ。 

最近の若者はどうなのかな?

私などはこのあたりの年代の曲が原点であり、聞いて真似して勉強していった訳だけども、最近の若者はどんなジャンルやアーティストが原点なのだろうか。Blink-182とかなのだろうか。いや、そういえば10歳以上も離れているバンドメンバーの若者にきいてみたら、Earth Wind & FireBootsy CollinsTower of Power、別の系統だとなんとLee Ritenourが挙がったりしていたので、思うほど流行り廃りは無いのかもしれないね! 

 

(2020/9/27 リンク切れを修正)

よろしい、ならば ファイナルファンタジーⅤ - ビッグブリッヂの死闘 だ!

今回は何を血迷ったのかゲーム音楽の打ち込みドラムプレイを徹底解説!もしも生身のドラムでカバーするとしたら、という観点で紹介してみよう!

 

音楽を聞いても、良いとか悪いとか何とも思わなかった子供の頃、いくらゲームにのめり込んだとしても音楽がどうということはなかった。そんな中、ファイナルファンタジーの中の曲は子供ながらにカッコイイとか良い曲だと感じたことを覚えている。たまたま自分が少しずつ成長し、ゲームの中で流れる音楽も注意して聞くようになったたタイミングだったのかもしれないが。ファイナルファンタジーⅤのなかでも、特に今現在も神曲として名高い「ビッグブリッヂの死闘」!英語表記だとBattle With Gilgameshなんだね。当時わたしは既にドラムを始めていたので、これを生ドラムでマネをしようとしたが難しすぎて断念したことを思い出す。

 

www.youtube.com

 

この打ち込みドラムを譜面にしてみるとこんな感じだ!

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ピコピコピコピコデジタル感あるフレーズではじまる。パイプオルガンみたいな音色で、どことなく格調高い感がある。5小節目からのドラムのドッドコドッドコドッドコドッドコでは、シンバルと合わせてタムとスネアが重なっている。バスドラは入っていない。生ドラムでこのままやるのは不可能ではないが、タムとスネアの左手の動きがかなりキツい。もしやるとしたらツーバスでドッドコドッドコしつつ両手でタム+シンバル、スネア+シンバルをプレイすると生身のドラムでも雰囲気が出せるであろう。

19小節目のフィルインのフレーズは曲中何度も登場する。4拍とも全てスネアが入っているのは生ドラムではまず発想しないフレーズである。スネアの間をタムが高い方から低い方に回っていくサウンドが特徴的で、なんだかドラムがスゴイ、という凄みを与えるフレーズである。生ドラムだとかなり厳しくなってしまう原因となっているのが、2拍目4拍目に入っているシンバルである。これを再現するためには、「タムが高い方から低い方に回っていく感」が失われてしまうが、ここは涙をのんでタム部分をツーバスで処理するのが現実的な解となろう。

21小節目はイントロから次の展開に移るための重要な小節。ドラム以外のパートがなくなり、ハイハットチーチキチーチキチーチキチーチキだけが残る。緊張感を表現しつつなめらかに次の展開につながる。

 

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22小節目からは、ハイハットのチーチキチーチキに、スネアとバスドラが加わっているこのパターン。当時わたしは、人間がこの部分を演奏するのは全くの不可能だと思っていた。チーチキをこのスピードで演奏するには、どうしてもチーチキの「キ」を左手で処理する以外に無いと思いこんでいたからだ。しかしいま改めて見てみるとそうでもない。一つの方法としては、チーチキの二つ目の「チ」は左足で踏んでハイハットクローズをするのであるから、ここの一手を省略して、最初の「チ」と最後の「キ」だけを右手で演奏すれば良い。かなりのスピードなので、Tony Williamsさながらの安定した右手と手足のコーディネーションが必要となる。Tony Williams LIFETIMEの楽曲「Fred」と「Mr. Spock」で、これに極めて似たチーチキのプレイをしており、不可能ではないことが分かる。

 

Lifetime: The Collection

Lifetime: The Collection

 

 

22小節目から最後はダル・セーニョで戻ってきて、この部分がずーっと繰り返しとなる。21小節目までのイントロ部分は、ゲーム本作で言うところのビッグブリッヂ(ブリッジ?)に入ったところで一回だけ。記憶が確かなら、上にスクロールで進んでいく中で雑魚キャラが度々襲ってきて、奥の方でギルガメッシュとご対面という場面だ。ギルガメッシュは敵のはずなのに沢山喋る。さらにそもそも倒す必要が無い。このようなイベントは当時のRPGからするとかなり画期的であったと思う。なんだかボスっぽいキャラだし、初めて出会ったときにはボス戦のつもりで全力で攻撃して、それこそ銭投げさえ辞さずに攻撃したりするも、あっさり逃走(?)。虚を突かれたよね~。

 

ファイナルファンタジーはⅧを最後にプレイしていないので、その後の動向は詳しくないのだが、ビッグブリッヂの死闘もその後のシリーズで繰り返しアレンジされて登場しているようだ。Youtubeでいくつか試聴してみたものの、やはりゲームに熱中しながら聞いたバージョンが自分のベストバージョンであることは揺るぎない。あなたのベストバージョンはファイナルファンタジーいくつ!?

 

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