HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する


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学研ひみつシリーズ『Incognito - Hold On To Me のひみつ』


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ビニース・ザ・サーフェイス

ビニース・ザ・サーフェイス

 

 

前回から引き続き、かつてとても流行っていたシャレオツなアシッド・ジャズの代名詞的バンド、Incognitoのアルバム「Beneath The Surface」から「Hold On To Me」をおおくりしようじゃないか。

前回の記事はこちら。


今回はおまちかねそのドラムソロ部分をご紹介だ。

ドラムソロの前、2:34あたりで、ベースが爽やかなサンバ・ラテン風のノリに切り替わる。ソウルフルなAメロやBメロやサビとは少し風味が異なり、大きな曲の転換を予想させるパートである。

 

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そんな爽やかな気持ちも束の間(7小節しかない)、上記の様な掴みでドラムソロに突入!

 

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それは8小節のちいさな旅、しかし本曲の重要な要素であるドラムソロ。冒頭のベースのパターンが2小節ごとに置かれていて、2小節でひとつの単位となっている。

印象的な点としてあげられるのは、3小節目後半のポリリズムからの6連符への流れだ。タム、スネア、バスドラの3つだけでつむぎだされるストーリー。人が生まれ、生き、そして死ぬ。1小節とちょっとでそんな物語を聞いた気になる。

続いて5、6小節目は、つづけざまにタチーチー。乱れ鳴るタチーチーで変化を付ける。そしてドラムソロ終わりを告げるにふさわしい、バスドラのダブルを含んだスリリングな6連符パターンが連続で繰り出される。

 

飽きさせない!飽きさせないのだ!4つの単位(1単位=2小節)が互いに個性的で、彩りがある。このくらいのテンポでドラムソロ8小節って、いざ何も考えずにやってみると飽きるのだ。飽きさせるのだ。変化をつけようと意識していかないと聴衆が興味を失う傾向がある。しかし、Richard Bailey先生(本作のドラマー)はもしかしたら、一発何も考えずにレコーディングにトライしている可能性がある。音楽を奏でる者としての経験と勘が働いて自然に飽きさせない構成になったんじゃないかと推察する。

もう一つのポイントは、お気付きの通り8分で常に踏み鳴らしているハイハットだ。地 味に思えるかもしれないが、これにより6連符のフレーズを連続してもグルーヴを失わないという大きな効果がある。これがデカい。一方でこのソロでやってい るような組み合わせで演奏するのはテクニック的にかなりむずかしい。4小節目の6連符と、7、8小節目の6連符で動きが違うのだが、どちらもピッタリとオンタイムにまとまっているのは高度なテクニックである。褒めちぎる。ただ、3、4小節目のポリリズムのところだけはRichard先生ヤバいと思ったのかハイハットを踏むのをやめている。この一瞬の判断力も先生のスゴイところだ。やはり褒める。

 

楽曲のハイライトに与えられた8小節、音程のあまりないドラムでストーリーを奏でることができるか?ドラマー、いやミュージシャンの真価が問われる8小節だ。

 

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