時計仕掛けの The James Taylor Quartet - MESSAGE FROM SICILY
Room at the Top by Taylor, James Quartet (2008-02-26) 【並行輸入品】
- アーティスト: James Quartet Taylor
- 出版社/メーカー: Sanctuary UK
- 発売日: 2008/02/26
- メディア: CD
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イギリスのジャズファンクバンドといえば、The James Taylor Quartet(またはJTQ)。The James Taylor Quartetといえば、注目すべきはJames Taylor氏のオルガンであろう。自分はバンドでキーボードを演奏することもあるが、その際の自分のプレイの基本となるのはJames Taylor氏のプレイである。ただ、自分はキーボードは下手なので、そんなに早く指が動くわけでもなく、そのプレイの雰囲気をマネしているだけだ!
ちなみに、カントリーミュージックを演奏する同姓同名のJames Taylor氏もいるが全くの別人である。
ドラムについて言えば、ジャズファンクの名にふさわしいプレイが満載であり、とても参考になる。お手本のような優れたプレイも沢山で、その中でもアルバム 「Room at the Top」から「MESSAGE FROM SICILY」のお手本4小節ドラムソロをご紹介だ。
2~5小節目がドラムソロ。譜面だけだとわかりにくいのだが、この起承転結感は異常!
なめらかにスッキリと流れるようでいて、キッチリとしたタイム感、それでいてどこか心にのこるフレーズ。自分で書いていてなんだかわからなくなってきた。
ドラムソロが始まったと同時に、マリンバを軽く叩いたような音がずっと鳴り続いていて、ミニマルミュージック的な無機質な連続性、持続性を感じさせるのも面白いところだ。
ドラムソロが終わると、普通のリズムパターンが続く(6小節目以降)が、これがまさにストレートコールドプレイ。彼は感情を排したドラムマシーンと化す。白玉(全音 符)で弾きっぱなしのアンビエント系ストリングスや、2つのコードを交互に行ったり来たりするだけのコード進行もあいまって、非常に無機質な印象だ。しかしそんな中、わずかなテンポの揺れやゴーストノートがドラムマシーン(暗喩)から漏れ出でて、生ドラムの人間味が見えるもいとをかし!正確無比なパーフェクトなプレイだけが優れた音楽じゃないんです!
Wikipediaを確認すると彼ら30年もJTQを続けているらしい。一体メンバーは何歳なんだ!?60歳以上のメンバーとかいるんじゃないのか。ともかくそんな息の長いミュージシャンになってみたいものである。
Jamiroquai - Kids がどんなものか知ってほしい
Return of the Space Cowboy: Deluxe Edition (ジャミロクワイ)
- アーティスト: ジャミロクワイ
- 出版社/メーカー: Sony UK
- 発売日: 2013/03/12
- メディア: CD
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雨が連日降って、お洗濯が乾きませんね。
さて、こちらも自分の世代には懐かしい、Jamiroquaiの初期のころの楽曲をご紹介だ。アルバム「The Return of the Space Cowboy」から「Kids」という曲。なかなか"オイシイ"ドラムパターンとなっていて、グルーヴィーを求めるドラマーであればきっと一聴して真似したくなる。
概ね上記の2、3小節目のようなパターンが基本だ。オイシイというのはもちろん、パターン2小節目最後の「タチーチー」だ。「タチーチー」というのは、昔このドラムのフレーズを耳にした人が「タチーチーって聞こえる」とつぶやいたことが由来だと現代に伝えられている。「タチーチー」は、ハイハットを素早く オープンクローズすると共に、スティックでも16分音符裏でタイミングよくハイハットを叩くことで完成する。たった一拍の短いフレーズに名前がついているだけあって、ドラムパターンの中で非常に際立ってきこえてくる。なお、この曲では「チーチー」は左手で、その直前の「タ」は右手で叩いている。逆も可能である。曲中、ライドシンバルを叩きながら「チーチー」しているところのチーチーは左手であろう。
しかしドラムにだけ注目してはいけない。Jamiroquaiにはパーカッションも参加しているのだ。
基本リズムパターンの中で、16分裏の効果的なタイミングでタンバリンが入っていて、グルーヴが増幅される。タチーチーに単純に合わせたりしないで、一拍前にズレているところがいいね。(上記譜面の上のパートがタンバリン)
ドラマーは忘れがちなことだが、スタジオにあるドラムセットで表現できることだけがすべてではない。本曲のタンバリンしかり。手拍子を入れたっていい。はだかになって腹をひっぱたいて音を出してもいいし、マイクにむかって口頭で「タチーチー」と言ってもいいだろう。いや、なにか音をだす必然性すらないのだ。曲中、ただただドラムセットの前のイスに鎮座し、静かに過ごしてみるというのはどうだ。当ブログのコンセプトからするとヒネり過ぎているので一旦ヤメておこう。
Prince - The Everlasting Now のあまりの凄さに戸惑いを隠せない
Princeですよ。元Princeじゃないんですよ。ハマアユみたいな謎の記号ではないんです。とにかく元に戻ってよかったです。
Prince のアルバム「Rainbow Children」でドラムを担当するのは、楽器をほとんど所持しない私がシグネチャーモデルのスネアを持っているほど好きなJohn Blackwellだ。それではこのアルバムから「The Everlasting Now」をとりあげてみよう。
広いスタジアムでオーディエンスが歓声をあげているようなサウンドイフェクトから始まり、こんなピックアップソロからスタートだ。
そして直後から始まる基本パターンが注目ポイントだ。
なにがスゴイかというと、その不思議な左右の手順だ。このような裏拍でハイハットをオープンするディスコ風のパターンにかぎらず、多くの場合ハイハットを叩くのは右手で、スネアが左手だ。一方ここでは、そのハイハットとスネアを(おそらく)全部左手で処理し、そして右手はフロアタムで曲を特徴づける印象的なハネるフレーズを織り込んでいるのだ。右手と左手の状態はおそらくこうなっている。
ロックドラム等の一般的な手順や体の動かしかたと比較すると、かなりバランスをとるのが難しいのだが、しかし彼は難なくやり遂げるッ。自然にやり遂げてしまうのである。
こ の曲のほかにも、どうやってバランスをとっているのか皆目わからない摩訶不思議ドラムパターンが飛び出したり、こうなったり、ああなったりで、クソ真面目な優等生ドラマーの常識を覆すのでした。摩訶不思議なのにゴキゲンでグルーヴィー、それがJohn Blackwell。シグネチャースネアには、John Blackwellのイニシャル「JB」というロゴがデカデカと入っているので、初めて見た人に「James Brownですか?」と必ずきかれてしまうが、不思議ちゃんJohn Blackwellはそんなことは気にしない。