HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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Steve Vai - The Audience Is Listening を人生にたとえたら、大げさでしょうか?

今回は僕の永遠のギターヒーローSteve Vaiが再登場!伝説のアルバムPassion and Warfareから、この曲The Audience Is Listeningを確認してみよう!! 

パッション・アンド・ウォーフェア

パッション・アンド・ウォーフェア

 

最初は以下のような先生と生徒とのトークから始まる。

先生「スティーヴィー、緊張しなくても大丈夫。先生が教室に入ってあなたを紹介するから、ギターを持って入ってきて。とってもすごいんだって、この前先生に教えてくれた曲を演奏するんだよね。そのあいだ先生は後ろで見ているよ。すごくいいと思うから、緊張しなくても大丈夫。みんなリラックスして、とてもいい気分になると思うわ。それじゃあ教室に入って紹介するわよ。」

先生「はい静かに!!みんな聞いてー!自分の席について!これからスティーヴィー・ヴァイがギターで曲をひとつ演奏します。全部自分で作った曲なんですって。はいスティーヴィー、3人のお友達も一緒に入って演奏しましょう。それでは、スティーヴ・ヴァイの登場です。なんて良い子なんでしょう!」

生徒「みんなのためにこの曲を作ったんだ。おとなになったら有名なロックンロールのギター奏者になるんだ!」

先生「それはいいわね(笑)それではどうぞー。」

生徒「これは僕のワミーバー。ちょっとうるさくなるよ。」

(曲開始)

先生「騒がしくないですか?おーい、音が大き過ぎますよ!おーーい!!」

といった流れで、かわいい生徒がかわいく演奏すると思ったら、先生の想定を超えて激しすぎて先生ビックリでみんな大騒ぎで収集つかないといったストーリーとなっている。記憶が確かなら、先生役で声の出演をしている人は、本当にSteve Vaiの子供の頃の(担任の)先生だったようである。

上のストーリーでいうところの「ちょっとうるさくなるよ。」の直後からテンポが生じて曲の始まり。ストーリー上、うるさくしないと先生の想定とのギャップがでないので、ドラムはこんな感じでうるさく始まる。ドラマーはChris Frazierだ!

(1:07)

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最初の6連符が両手だけ、次の6連符は両足と両手で。2つの6連符のすべての音を埋めてうるさくする。4小節目までまったく同じ形。余談だが、とあるスタジオで練習した時のこと。そのスタジオは終了時間が来ると部屋の照明をフラッシュさせて中の人に知らせるシステムになっており、通常はフラッシュ一回ですぐに終了とわかる。以前にそのスタジオで時間が来てフラッシュ一回あったが、名残惜しいとおもったのでこの6連符のフレーズを激しく繰り返していたら「もう終わりだぞこのヤロウ!」と言わんばかりにフラッシュをパッパパッパ4、5回食らってしまった。終了直後にバンドメンバーがすぐに部屋のドアを開けていたので、受付の方までうるさくなってしまっていたのだった。ご迷惑おかけしました。

さてスタジオの受付の人がイライラするほどのうるさいパートが終わったあとは、ジャズ4ビートのようなチーチキチーチキのパートに変わる。

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楽譜のいちばん最初に指定があるように、16分音符2つを、3連符の1つ目と3つ目に読み替えるスウィングで演奏する。ここのギターが著しくカッコよいので、ここのギターを必死に練習してできるようになったのはいい思い出。細かい話だが、10小節目の最後と11小節目の最初にベルのような音が入っているが、これをチーチキチーチキと同時に鳴らすのはおそらく不可能なので後で重ねているものと思われる。

つづいて13小節目から重厚なギターリフが始まる。

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ドラムのほうはスネアとフロアタム同時打ち、またはスネアだけの極めてシンプルなプレイで重厚さを支える。そして本曲ドラムプレイの注目ポイント!

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25小節目からの基本パターンである。両足にてドッコドッコドッコドッコが登場。かなりテンポが速いため実奏はかなり大変である。演奏予定日に向けて体力をつけ、当日は気合を入れて臨まなければならない。16分音符のスウィングなので、スウィングでない楽譜上で書くとつまりこうである。

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諸説あるが、このプレイは左足を8分音符で踏み、右足で3連符裏を踏むのが標準的であると思われる。ハイハットを左足で8分音符で踏むのと同じ要領になるはずので、体のバランスがとりやすいと考えられる。もしかしたら逆がやりやすい人もいるのかもしれない。

この両足ドッコドッコドッコドッコのドラムパターンはVan HalenのHot For Teacherで使われていることで有名である。Steve VaiのこのアルバムPassion and Warfareのリリースが1990年、Van Halenのアルバム1984がタイトル通り1984年にリリースなのでHot For Teacherが先であった。それよりも前に使われたことはあったのだろうか。残念ながら確実な情報はない。実のところ自分はVan Halenをあまり聞いてこなかったので、このパターンに出会ったのは本曲The Audience Is Listeningが初めてであった。いずれにしても、近年にはまったく聞くことがなくなったツーバスパターン。おそらくはヒット曲で使われた最初で最後のケースがHot For Teacherとなるであろう。そういえばThe Audience Is ListeningもまたTeacherと関連しているのは、やはりSteve Vaiが先発のHot For Teacherに触発されて作ったからなのかそれとも偶然か。

鳴かぬなら鳴かせてみせよう James Brown - Super Bad

 

今回はJames Brownのスタンダード曲Super Badをチェック!これをピックアップしたのは、先日に結成した新バンドの課題曲であるからだ!結成といっても、馴染みの2つのバンドに属するメンバーが一人二人寄って、いたずらに別バンドとして始めただけなのであまり新奇性なし! 

20 All Time Greatest Hits

20 All Time Greatest Hits

  • アーティスト:Brown, James
  • 発売日: 1991/10/22
  • メディア: CD
 

 

 

以前のJBに関する記事はコチラ 

世界的最上級パターン

さて本曲、もちろんド頭から世界的最上級のグルーヴ。ドラムパターンはこんな形だ。

(0:00)

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ホーンのアクセントとスネアのアクセントが完全に一致。普通の2拍4拍のバックビートなどでは全くないスリップビートだ。始まってすぐに、リズムを打ち出す2種類のギターが交互に入ってきてグルーヴが増幅する。ベースはなんとなく目立ってないように聞こえたので落ち着いているかと思いきや、意外に16分音符系になっており絶妙である。そして聞き逃してはいけないのがコンガである。そう、あのパーカッションだ。コンガの特に16分裏の音が空間を埋めることによりグルーヴをまとめ上げている。コンガがない場合はスネアゴーストノートをたくさん入れて補強せねばならない。

カップをチンチキチンチキするブリッジ

上記のパターンをほぼ楽譜の通りに変化せず繰り返す。約1分30秒同じ。JBではおなじみの光景である。そしてJBがBridge! Come on!と叫んでブリッジに突入!

(1:28)

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上の楽譜の3小節目からがブリッジ。2小節のセットが繰り返しとなっている。ドラムは珍しくシンバルのカップを使った少し細かいパターンだ。カップをチンチキチンチキするカップチンチキとスネアによるパターンは少しランダムなようであるが、上の楽譜の10小節目と12小節目が登場する頻度が多い。2拍4拍のバックビートにしないように、ビートをスリップさせることを守って自由にチンチキすると良いだろう。

もとのパターンに完全復帰

そしてブリッジが終わるところ。

(2:14)

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2小節セットがつづいて、ついにJBがクライマックスの叫びをあげると、ダダダダダダダダ!(上の楽譜の5小節目)で最初のもとのパターンに完全復帰。当然、6小節目のアタマにシンバルなんかブッ叩かない。ここには要らないのだ。ブリッジ終了のクライマックスに興奮して要らないものを入れてはいけない。

新バンドはホーンもねえコンガもねえ、ギターベースドラムの雑スリーピースなので、結局はゴーストノートをふんだんに入れてパターンをアレンジしてグルーヴを出すことになる。Super Badを今回少し深く理解できたので、アレンジを含めて新バンドでの課題曲演奏が楽しめそうである。

夢はまだ破れていない。キミには yujihb - 基礎編04 がある。

いくつかのフィルインのアイデアをさらに紹介!前回と趣きを同じくして、キックをはさみこんだフィルインである。前回は2拍分(=4分音符2つ分)で、キックは定期的に3打に1回とするパターンであったが、今回はそれをすこし拡張して、長さは4拍分(=4分音符4つ分)くらいで、キックはもう少し柔軟にはさむ感じでサンプルをいくつか提示してみよう。

前回の記事はこちら:

 

1小節分のリニアフレーズフィルイン

例えばつぎのような形で両手と足を使うフィルイン。手足の順番を明示するため、一旦両手はすべてスネアとしてみた。なにかの法則にのっとっている訳ではなく、ランダムに両手のフレーズを書き、その両手が休む部分にキックを書いてみたものである。なお、フィルインの直前の小節の4拍目のように、フィルインの予兆・前兆を入れることによってスムーズさがアップするのでオススメである。

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右手をフロアタムに移動するだけ!

つぎに両手スネアだったものを、左手スネア・右手フロアタムに単純に移動させてみる。

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ハイできあがり!!前回の記事にてリニアフレーズのメリットとしてお伝えしたもののひとつ「典型的さ加減を少なくする効果」も加わり、あっという間に個性的フィルインの完成である。上記例を試奏してみてほしい。両手の調子はどう?苦しいかい?ストレスは溜まったかい?答えは否であるはずだ。ラク過ぎて逆に不安になるレベル。とはいえテンポがゆっくりの場合はむしろ体のバランスが取りづらく、慣れるまで練習が必要かもしれない。

 

新感覚のフィルインがすぐそこに

つぎはさらに手の順番を一部変えてみるとどうか。ひとつめの[A+]はこのように。

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ふたつめの[B+]はこのように。

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スネアの音の位置が少し変わることによって新感覚のフィルインに早変わり!ひとつの大きなポイントは、両手が2打のところでRLを逆にしても問題がないということだ。実奏するとすぐに、ほとんど両手に支障がないことが体験できるはずだ。腕の動きに注意を向けてみるとよい。R L (K) R L (K)の箇所の腕の動きは(図1)を演奏した際のものと似ている。一方でR L (K) L R (K)となっている箇所では腕の動きが(図2)のようになる。いやちょっとこれは話が細か過ぎたか。

(図1)

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(図2)

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ともかくこれは、無理な姿勢をとらなくとも、フレーズ中のスネアのアクセントの位置を16分音符ひとつぶん前にも後ろにも持っていけるという可能性を示している。ただし、ここまでくるとさすがに演奏がラクとは言えなくなっている。自分がスムーズに流すことができる手足の順番を模索するなど、すこし練習が必要となるであろう。