HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

English

スポンサードリンク

Frank Zappa - Andy だっていいじゃないか にんげんだもの

またまた懲りずにFrank Zappaのお時間!!しかも何度も登場しているアルバムThe Best Band You Never Heard In Your Lifeから。音楽プレイヤーのプレイリストの真ん中あたりにこのアルバムが残っていて消さないものだから、なんとなく聞いてしまい、取り上げたくなり極めてしつこいことに。 

Best Band You Never Heard in Your Life

Best Band You Never Heard in Your Life

  • アーティスト:Zappa, Frank
  • 発売日: 1995/05/30
  • メディア: CD
 

同アルバムの以前の記事はコチラ:

前編

後編

Frank Zappa - Andy (The Best Band You Never Heard In Your Life)

The Best Bandという名に恥じないベストなトラックがたくさん。その中からこの曲Andy!ドラムを担当するのはChad Wackermanだ。最初のテーマのところはこの様になっている。

(00:08-)

f:id:yujihb:20200229001126j:plain

メロディを奏でられる楽器も、このスネアのリズムで単音で吹く。One Note Zappa。リズムだけを表現。このリズム自体にはなんの意味も感じられないが、空間があって全員で合わせるのでバンドメンバーの緊張感は感じられる。上記の楽譜の最後の見慣れない数字が不穏である

話し言葉のリズムそのまま

そこはもちろんZappa。穏当でない状況が直後に現れる!

(00:23-)

f:id:yujihb:20200229001909j:plain

話し言葉のリズムをそのママ強引に乗せているようなので、かなりキツい変拍子のセクションとなっている。きっとたくさんリハーサルしたのだろう。この絵面にも関わらずバンドによどみがないのは驚きである。

歌詞を併記してみる

歌のリズムが見えたらいいなと思い、ためしに歌詞を併記してみる。

f:id:yujihb:20200229003236j:plain

歌と歌の間のフワーーーーンが謎であるが、歌のところは話し言葉のリズムそのままであることがわかる。歌詞はずっと同じことを繰り返している。「君に何か良いところがあったらぜひ知りたい。」のだそうだ。意味わからん。何を主張したいのかはわからないが、曲自体、その楽曲構成については極めて興味深いので、もったいないので2回に分けてご紹介したい。次回、同曲のこのあとの興味深い構成と、超絶グルーヴ(!)を確認する。この絵面で超絶グルーヴとは果たして!?乞うご期待!!

Vinnie Colaiuta 最強伝説 - I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizza

 

Vinnie Colaiuta - I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizza

今回はこれもまた20年以上前の楽曲で恐縮ながら、当時の音楽シーンに衝撃を与えた問題作を取り上げよう! 

Vinnie Colaiuta

Vinnie Colaiuta

  • アーティスト:Vinnie Colaiuta
  • 出版社/メーカー: Stretch Records
  • 発売日: 1997/02/18
  • メディア: CD
 

Vinnie Colaiutaのソロアルバムである。タイトルはそのままVinnie Colaiuta!そして1曲目の I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizzaのアレを確認!

普通のロックドラム的パターンがズレて、ズレて、ズレる

ギターのテーマが始まったところからのプレイがこのような感じ。

(00:19-)

f:id:yujihb:20200218010828j:plain

f:id:yujihb:20200218010845j:plain

もちろんご注目は9小節目から16小節目までのプレイである。聞いてもらうと明らかなのであるが、普通のロックドラム的パターンが、突然16分音符分ズレて、ズレて、ズレる。ひとはよく、レコードの針が飛んだようだとか、CDが読み込みエラーでスキップしたなどと表現する。8分音符のクリックを聴きながら自分でもトライしてみたくなるプレイである。これまでにないトリックを思いつき、そして実践するVinnieにリスペクト不可避。

もう少し正確に楽譜にすると

この普通のロックドラム的パターンをもう少し正確に楽譜にすると、このようにテヌート的なハイハットと、その裏のゴーストノートのようになるかと思う。

f:id:yujihb:20200218010946j:plain

ハイハットをハーフオープンぎみにして強く叩いて、ほんの少し裏拍を叩くか叩かないかくらいの感じ。右手は8分で動かすが裏拍はほぼゴーストモーション的な。したがって、最初の楽譜は厳密には休符が正確ではない(もっとテヌートしているので休符が多すぎる)。その代わり実践向けとしてアクセントのついたハイハットとスネアバックビートのタイミングを明確にするように書いている。

できる限り正確に書くと、こんな感じで最高にわかりにくいことになる。これは嫌だ

f:id:yujihb:20200218011123j:plain

間をとって8分裏のゴーストノートを書いてみる

それなら、間をとって次のように8分裏のゴーストノートを書いてしまえば実践的かつ少し正確になるかも。ついでに、レコードの針が飛んで普通パターンからズレた状態になった部分に色を付けてみた。緑は1拍のなかの16分音符4つ目、ピンクは3つ目、青は2つ目にアクセントがある状態となっている。最初の楽譜とどっちがいいかな。

f:id:yujihb:20200218011219j:plain

タイムを変化させるようなプレイは流行ってないんだろうか

多くの高齢ドラマーはこちらの楽曲はすでにご存じのことと思われる。事と次第によっては「Vinnieのソロアルバムのアレ」で伝わるほどの有名トリック。近年このようなタイムを変化させるような興味深いプレイに出くわさないように思うが、流行ってないんだろうか。もしかしたら高齢でないドラマーには、何が面白いのか、高齢者が何をそんなに騒いでいるのかわからないのやも知れぬ。

空と Jeff Porcaro - Mushanga のあいだには

 

Jeff Porcaro - Instructional Video

YouTubeでドラムプレイ映像を確認することはとても有用である。気になったプレイを自分の糧にするうえでこれほどパワフルなことはない、と前回改めて確認した。

前回の記事はコチラ 

そのため時間の許す限りチェーン視聴(映像終了後のサムネイルを次々とクリックして連続して見ていくこと)をしたところ、Jeff Porcaroの映像をいくつか発見。こちらの映像に特に強く興味を惹かれたのでくわしく確認してみたい! 

Jeff Porcaroからの貴重な教えを記録したものである。16ビートのハイハットを両手ではなく片手でやるとイイね!(7:10頃)などなど、参考になるコンセプトが紹介されている。その中でも、今回TotoのアルバムThe Seventh Oneに収録の楽曲Mushangaの基本パターンを解説している箇所に注目してみたい。 

ザ・セブンス・ワン~第7の剣~

ザ・セブンス・ワン~第7の剣~

 

どうにも釈然としない手順とアクセント

12:11頃から今回のパターンの解説がはじまる。つづいて、ハイハットだけを叩いて手順を確認する。説明してくれているとおりパラディドルディドル(RLRRLL)が含まれる手順となっている。

(13:20-)

f:id:yujihb:20191228014519j:plain

手順はおっしゃる通りなのだが、どうにも釈然としないのが、3拍目の左左の1つ目だけ、および4拍目の右右の2つ目だけにアクセントがついていること。スティックコントロールに自信がないとでてこない発想だ。わたくし個人的には、やりにくいのでできれば避けたい感じの手順となっている。映像では非常にスムーズで簡単そうにみえたので最初は次のような手順かと思ったがこれではMushangaのパターンはできません

(注:この手順ではありません)

f:id:yujihb:20191228014538j:plain

3拍目の左左の1つ目だけ、および4拍目の右右の2つ目だけにアクセント、という絶妙なスティックコントロールはやはり彼の超絶スキルを如実に示していると思われる。アクセント+直後の非アクセントを片手でスムーズにプレイしている様子は、こちらの以前の記事でも確認した。

Mushanga実奏

さて手順がわかり、十分に慣れたところでドラムキット上で手を移動して実際のMushangaの曲中のパターンを演奏する。

(14:02-)

f:id:yujihb:20191228014549j:plain

f:id:yujihb:20191228014600j:plain

タムの音程でX字の音符が置いてあるところは、タムのリム(枠)を叩いてカチカチ鳴らすことを示す。時折、X字の音符の箇所でもリムではなくて普通にタムの打面を叩いている場合もあるが上記譜面では示していない。どちらを叩いても弱くゴーストノートとして演奏する部分なのでその時の気分で無問題。

人間工学的にも優しいパターン

タムが印象的なこの曲中パターンでは、前段でハイハットだけで確認したアクセントの場所を強く意識する必要はなさそうだ。むしろ実奏する場合には曲中パターンのほうが理解しやすい。2拍目後ろ2つが右右となっているのが非常に合理的で、3拍目のスネアアクセントを左手で打つことができる。ドラムキット上でタムやハイハットをアレコレと使った複雑な音の流れが聞こえるパターンなのに、無理な姿勢をとったりする必要がない。もはや人間工学的にも優しいパターンなのである。

こうして彼のプレイをじっくり見てみると、典型的なスーパードラマーとは違って、プレイしている見た目としてそれほどの派手さはないように思える。しかし見た目で興味を引くドラマーだけがスーパーなドラマーではない。自分のもしくは自分のバンドのアートを表現できればよいのだ。わかる人にはわかるでもヨシ、わかる人でさえもわからないでもまたヨシ!人々が許す限り2020年もそんな投げやりな姿勢で過ごしていきたい。