HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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James Brown - Mother Popcorn がまじ萌えることに今更気付いた

改めてJames Brownを聞き返していたところ、このファンクグルーヴはどうやって生まれているのか確認したくてたまらず、自分でもやってみたくてたまらず、たまりかねて今回のエントリー!それはこの曲、Mother Popcorn (You Got to Have a Mother for Me) !1969年にリリースされ、James Brownの各種アルバムに複数収録されている。例えばベスト的な20 All-Time Greatest Hits!や、4枚組Star TimeのDisc 3 ("Soul Brother No. 1")等。ライブバージョンもまたリリースされているはず。 

Star Time

Star Time

 

Mother Popcornファンクグルーヴの王道を愉しめる、非常に魅力的なトラックとなっている。まずは一番際立って聞こえる、16分音符で鋭く合わせるホーンのフレーズだけで相当にファンクグルーヴである。本作のドラマーClyde Stubblefieldのプレイのほうはというと、

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ハイハットを常時4分音符で刻み、パターンの総体的なよりどころとタイム感を形作っている。ここを安定させたうえで、バックビートを4拍目ではなく4拍目裏へスリップ!ホーンももちろん合わせてツルっとスリップ。ファンクパターンの常套句。そして欠かせないのがスネアのゴーストノート。小さな音ながらしっかりと16分音符に乗せてホーンのリズムとも合わせる。なお、バスドラはほとんど聞こえないので、バスドラはこのファンクグルーヴの要素ではほとんど無いと思われる。

なんとなく、ほかにもまだ重要な要素があるような気がする、と、よーーーーく聞いてみると、なんと左手ミュートのギター、いわゆるギターのブラッシング(和製英語)がこんな感じで入っていた!

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隠し味!からみつくグルーヴはスネアゴーストノートだけじゃなかったのねー。

このようなパターンを、何十小節もほぼ完全に同じように繰り返すJames Brownの歌のバックグラウンドトラックというべきか。そんなパターンが本曲ではもう一つだけ登場する。1拍目と2拍目にアクセントをつけたこんなパターンである。JBのほかの曲(例:Cold Sweat)にも出てくるのでJBはこのリズムが好きなのだと思う。

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(1:48-)

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赤い音符は冒頭パターンと異なる部分を示す。これも数回繰り返して、1:48過ぎでまたもとのパターンに戻る。戻った先の一発目はハイハットオープン、これだけ。あとはほぼ同じ。シンプル!本曲ではシンバルを一回も叩いてないと思われるので、もしかしたらシンバルがないドラムキットなのかもしれない。そうすると最大音量のアクセントは必然的にハイハットオープンとなるか。

これは世界を席巻するはずである。現代にまで語り継がれるはずである。そんな不滅のグルーヴを再確認することができた!

秋だ!一番! Frank Zappa - Muffin Man 祭り

今回は、再度Frank Zappaのこれまた古いところ(1975年!)を聞いていたら気になったのでご紹介。需要は無いに違いない!

Frank ZappaのアルバムBongo Furyから、Muffin Man若さ溢れるTerry Bozzioのドラムプレイを確認だ! 

ボンゴ・フューリー(紙ジャケット仕様)

ボンゴ・フューリー(紙ジャケット仕様)

 

 冒頭はMuffin Manとの対話を交えてストーリーテリング。そして「Muffinが至高である...!」などと言って曲が始まるところ。

(1:24)

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なにが若さ溢れるかって4小節目と8小節目のこの6連符のシングルストロークひたすら連打である。できない人にはできない、できる人もちょっとくるしい中々のスピードである。極限まで空間を埋めんとする筋肉質なストレートさ。同時期のTerry Bozzioよろしく、上半身はやはり裸でなければならないので、ボディビルディングをして見た目も鍛える必要がある。実際にやってみると、スポーツで体をよく動かした後のようにかなり爽快な気分になる。空間埋めをやり切った感、次の小節の頭のシンバルにキッチリ到達してやった感。

このフレーズは高校生の時などよくマネしていた。聞いているひとに「もう一回やって」と要求されることが多かったことを思い出した。シンプルながら、怒涛の連打とタムが上から下に流れるような感じとがどうやら魅力的なフレーズのようである。今参加しているバンドでも入れてみようかな。こんなスポーティーはプレイは体力のあるうちにしかできなそうなので!

我が子に教えたい Steely Dan - Aja

 よし、前回の続き!Steely DanのアルバムAjaから、アルバムタイトル曲Ajaの後半部分。 

彩(エイジャ)

彩(エイジャ)

 

 前回の記事はこちら。

 

前回取り上げた中盤にあるものと同じく、キメの間を縫うようなドラムソロ、とその後のフェードアウトするパターンを確認!

(6:53-)

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 3小節目のアウフタクトからがドラムソロが荒ぶっておるところ。このドラムソロ部分に来る前まではクールでメゾフォルテな歌のセクションであるので、この突然フォルテシモなドラムソロ突入という大きなギャップがまずはリスナーを引きつける。

Steve Gadd黄金フレーズとともに多彩なフレーズを繰り出しつつドラムソロが進んでゆく。そして次の瞬間、18小節目のフィルインを合図にサンバのパターンに変化する!! 

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 こちらのサンバのパターンもまた彼の十八番である。十八番すぎてThe Steve Gadd Sambaとまで呼ばれることもある、独特のフィールとグルーヴがあるラテン系パターンである。左足は4分音符で常にスプラッシュ奏法で鳴らしている(譜面上、左足ハイハットに「○」を示すべきであるが見えにくくなるので省略)。

技術的には不可能というようなことはなさそうに見えるが、楽譜に書いて真似してみても、どうもGaddのようなドライブするグルーヴになってこない。おそらくには、四肢総動員のパターンのため、正確に16分音符に乗せ、かつダイナミクス(音の強弱)をコントロールするのが難しいパターンであることが理由と思われる。Gaddはパラディドル等々のルーディメンツがかなり整っていて、その基礎的テクニックの差異が大きな違いを生むのではないだろうか。また、楽譜には起こしにくい微妙な音の強弱もパターンの味の決め手になると思われる。そう簡単には近づけない高みにあるグルーヴなのである!

The Steve Gadd Sambaの解説はこちらのGolden Classic Tapesをぜひご覧あれ。Ajaのパターンとは少し違うが、こんな様子でAjaもプレイしたと想像するとフィールがつかみやすくなるかも知れない。

いやー当たり前だが改めてウマい!さすがはレジェンド。