鳴かぬなら鳴かせてみせよう James Brown - Super Bad
今回はJames Brownのスタンダード曲Super Badをチェック!これをピックアップしたのは、先日に結成した新バンドの課題曲であるからだ!結成といっても、馴染みの2つのバンドに属するメンバーが一人二人寄って、いたずらに別バンドとして始めただけなのであまり新奇性なし!
以前のJBに関する記事はコチラ
世界的最上級パターン
さて本曲、もちろんド頭から世界的最上級のグルーヴ。ドラムパターンはこんな形だ。
(0:00)
ホーンのアクセントとスネアのアクセントが完全に一致。普通の2拍4拍のバックビートなどでは全くないスリップビートだ。始まってすぐに、リズムを打ち出す2種類のギターが交互に入ってきてグルーヴが増幅する。ベースはなんとなく目立ってないように聞こえたので落ち着いているかと思いきや、意外に16分音符系になっており絶妙である。そして聞き逃してはいけないのがコンガである。そう、あのパーカッションだ。コンガの特に16分裏の音が空間を埋めることによりグルーヴをまとめ上げている。コンガがない場合はスネアゴーストノートをたくさん入れて補強せねばならない。
カップをチンチキチンチキするブリッジ
上記のパターンをほぼ楽譜の通りに変化せず繰り返す。約1分30秒同じ。JBではおなじみの光景である。そしてJBがBridge! Come on!と叫んでブリッジに突入!
(1:28)
上の楽譜の3小節目からがブリッジ。2小節のセットが繰り返しとなっている。ドラムは珍しくシンバルのカップを使った少し細かいパターンだ。カップをチンチキチンチキする。カップチンチキとスネアによるパターンは少しランダムなようであるが、上の楽譜の10小節目と12小節目が登場する頻度が多い。2拍4拍のバックビートにしないように、ビートをスリップさせることを守って自由にチンチキすると良いだろう。
もとのパターンに完全復帰
そしてブリッジが終わるところ。
(2:14)
2小節セットがつづいて、ついにJBがクライマックスの叫びをあげると、ダダダダダダダダ!(上の楽譜の5小節目)で最初のもとのパターンに完全復帰。当然、6小節目のアタマにシンバルなんかブッ叩かない。ここには要らないのだ。ブリッジ終了のクライマックスに興奮して要らないものを入れてはいけない。
新バンドはホーンもねえコンガもねえ、ギターベースドラムの雑スリーピースなので、結局はゴーストノートをふんだんに入れてパターンをアレンジしてグルーヴを出すことになる。Super Badを今回少し深く理解できたので、アレンジを含めて新バンドでの課題曲演奏が楽しめそうである。
夢はまだ破れていない。キミには yujihb - 基礎編04 がある。
いくつかのフィルインのアイデアをさらに紹介!前回と趣きを同じくして、キックをはさみこんだフィルインである。前回は2拍分(=4分音符2つ分)で、キックは定期的に3打に1回とするパターンであったが、今回はそれをすこし拡張して、長さは4拍分(=4分音符4つ分)くらいで、キックはもう少し柔軟にはさむ感じでサンプルをいくつか提示してみよう。
前回の記事はこちら:
1小節分のリニアフレーズフィルイン例
例えばつぎのような形で両手と足を使うフィルイン。手足の順番を明示するため、一旦両手はすべてスネアとしてみた。なにかの法則にのっとっている訳ではなく、ランダムに両手のフレーズを書き、その両手が休む部分にキックを書いてみたものである。なお、フィルインの直前の小節の4拍目のように、フィルインの予兆・前兆を入れることによってスムーズさがアップするのでオススメである。
右手をフロアタムに移動するだけ!
つぎに両手スネアだったものを、左手スネア・右手フロアタムに単純に移動させてみる。
ハイできあがり!!前回の記事にてリニアフレーズのメリットとしてお伝えしたもののひとつ「典型的さ加減を少なくする効果」も加わり、あっという間に個性的フィルインの完成である。上記例を試奏してみてほしい。両手の調子はどう?苦しいかい?ストレスは溜まったかい?答えは否であるはずだ。ラク過ぎて逆に不安になるレベル。とはいえテンポがゆっくりの場合はむしろ体のバランスが取りづらく、慣れるまで練習が必要かもしれない。
新感覚のフィルインがすぐそこに
つぎはさらに手の順番を一部変えてみるとどうか。ひとつめの[A+]はこのように。
ふたつめの[B+]はこのように。
スネアの音の位置が少し変わることによって新感覚のフィルインに早変わり!ひとつの大きなポイントは、両手が2打のところでRLを逆にしても問題がないということだ。実奏するとすぐに、ほとんど両手に支障がないことが体験できるはずだ。腕の動きに注意を向けてみるとよい。R L (K) R L (K)の箇所の腕の動きは(図1)を演奏した際のものと似ている。一方でR L (K) L R (K)となっている箇所では腕の動きが(図2)のようになる。いやちょっとこれは話が細か過ぎたか。
(図1)
(図2)
ともかくこれは、無理な姿勢をとらなくとも、フレーズ中のスネアのアクセントの位置を16分音符ひとつぶん前にも後ろにも持っていけるという可能性を示している。ただし、ここまでくるとさすがに演奏がラクとは言えなくなっている。自分がスムーズに流すことができる手足の順番を模索するなど、すこし練習が必要となるであろう。
もう疲れた!という人に勇気を与える yujihb - 基礎編03 でありたい
今回はすこし違う趣きで。特定の楽曲ではなく一般的なフィルインの発想について紹介してみようかと思う。特にフィルインの中にキックを絡めたケースである。
16分音符のフィルインの中に一部キックをはさみ込むこと
こんなフィルインがロックドラムの教則本の基礎編にしばしば見られる。
ドラムの練習のためのフィルインとして極めて典型的である。それ故に、もはや実際に楽曲の中で演奏されることは避けられるフレーズである。これをすこしだけ変えることで、楽曲のなかで十分に有効で印象的なフレーズとすることが可能である。この16分音符のフィルインの中に一部キックをはさみ込むことがその一つの方法だ。いわゆるリニアフレーズというやつだ。例えばつぎのようなフィルインが考えられる。
上記の例は、3打に1打程度、定期的にキックをはさんだものである。[B]の例では最初の[A]の例のハイタム/ロータム/フロアタムに準ずる箇所がキックとなっており、音色的にはそれほど変わらない(スネアが最初に2打で、あとはスネア以外の低い音で埋まっている形)ように思えるかもしれないが、[A]のような典型的さ加減は大きく減少する。そしてなにより、演奏がラクなのである。ぜひやってみてほしい。両手が連続せず16分音符分だけひとつ休符があることによって、リストストロークではなく大きくアームストロークで演奏できる。したがってラクにタムの音量を出すこともできる。
[C]の例ではスネアの数が[A]や[B]とは異なるがおおむね似た形である。最後だけキックがダブルになるので、テンポによっては少し足がきついかもしれない。
[D]の例は2小節目最後のフロアタムが1打しかなく、すぐにつぎの小節のアタマのシンバルがあるので手順に注意しないといけない。フロアタムを左手とするのがスムーズと思われるが、左手で小節のアタマのシンバルいけちゃう系(?)の人であれば逆でもよいだろう。
それほど苦しまずにできるテクニカルフィルイン
キックをはさむことで少し余裕がでてきた両手。いつも忙しい両手に休んでもらってもよいが、こんなこともラクにできるはずだ!
急激にテクニカル感がでてくる。急に激しすぎる感があるので使いどころは限られるかもしれないが、それほど苦しまずにできるテクニカルフィルインのひとつのアイデアである。一番最初の[A]の例を同じように32分音符に変更してみると、
あーこれはイカン。これは疲れるやつだ。見ただけで吐いてしまいそうである。一方[B改][C改][D改]は、[A改]のような怒涛の連打でないにもかかわらず[A改]に準ずるスゴみを比較的ラクに実現できると考えられる。それもこれもフィルインにキックをはさみこむことによる恩恵である。
ということで、キックを絡めたリニアフレーズのアイデアをご紹介。教則本の基礎編には載っていないが、このようにメリットがたくさんあるので是非いちどお試しを!