VAI - Here & Now の人気に嫉妬
いつだって彼は僕のヒーローさ!Steve Vaiは僕の師匠です。わたしが所持するエレキギターはもちろん24フレット!だって、22フレットだと師匠のソロがマネできないんだもの!
さて、師匠が「VAI」という名称のバンドを組んでいたときのアルバム「Sex & Religion」をお届けだ。
同アルバムの歌詞カードには、切腹するサムライと、そのサムライから魂が発せられるようなイラストが載っていたと記憶している。本作に参加する圧倒的なアートを具現化するミュージシャン達のイメージと相まって非常に意味深である。そんな深そうなアルバムから、意味ありげな題名の「Here & Now」をとりあげてみよう。
ドラマーはというと、これまた私のココロの師匠、Terry Bozzio大先生だ!そう、お気づきの通り、どちらもZappa門下生。Frank Zappaフリークの私にとって、Zappa門下生は無条件でお気に入りになってしまうのだった。
イントロはシンプルなギターフレーズから始まったと思った矢先、もう2小節目から高速アンサンブル。自分はギターはできないが、ドラムだけは何とかなりそうだ。
つづいて譜面5小節目からパワーコードなリフと共にパワーのあるリズムパターンである。問題は7小節目の2、3拍目。片足だとたぶんできないので、ツインペダルかツーバスで臨んでみよう。キックがドコドコドコドコ!ベースがバチバチバチバチ!ヘヴィメタルなキメがすこぶる快活だ。バンドが一体となって重厚さが醸しだされる。このような、一部ツーバスで処理するドラムパターンってのは知的だ。ずっと踏み続けているパターンと比較すると知的だ。さすがである。
当時未成年だったわたしはこのパターンを何度も練習していたのだが、どうもカッチリと決まらなくて悩んだものである。そんな事を今思い出した。いま現在カッチリできるようになっているのかどうか、こんどやってみよう。
学研ひみつシリーズ『Incognito - Hold On To Me のひみつ』
前回から引き続き、かつてとても流行っていたシャレオツなアシッド・ジャズの代名詞的バンド、Incognitoのアルバム「Beneath The Surface」から「Hold On To Me」をおおくりしようじゃないか。
前回の記事はこちら。
今回はおまちかねそのドラムソロ部分をご紹介だ。
ドラムソロの前、2:34あたりで、ベースが爽やかなサンバ・ラテン風のノリに切り替わる。ソウルフルなAメロやBメロやサビとは少し風味が異なり、大きな曲の転換を予想させるパートである。
そんな爽やかな気持ちも束の間(7小節しかない)、上記の様な掴みでドラムソロに突入!
それは8小節のちいさな旅、しかし本曲の重要な要素であるドラムソロ。冒頭のベースのパターンが2小節ごとに置かれていて、2小節でひとつの単位となっている。
印象的な点としてあげられるのは、3小節目後半のポリリズムからの6連符への流れだ。タム、スネア、バスドラの3つだけでつむぎだされるストーリー。人が生まれ、生き、そして死ぬ。1小節とちょっとでそんな物語を聞いた気になる。
続いて5、6小節目は、つづけざまにタチーチー。乱れ鳴るタチーチーで変化を付ける。そしてドラムソロ終わりを告げるにふさわしい、バスドラのダブルを含んだスリリングな6連符パターンが連続で繰り出される。
飽きさせない!飽きさせないのだ!4つの単位(1単位=2小節)が互いに個性的で、彩りがある。このくらいのテンポでドラムソロ8小節って、いざ何も考えずにやってみると飽きるのだ。飽きさせるのだ。変化をつけようと意識していかないと聴衆が興味を失う傾向がある。しかし、Richard Bailey先生(本作のドラマー)はもしかしたら、一発何も考えずにレコーディングにトライしている可能性がある。音楽を奏でる者としての経験と勘が働いて自然に飽きさせない構成になったんじゃないかと推察する。
もう一つのポイントは、お気付きの通り8分で常に踏み鳴らしているハイハットだ。地 味に思えるかもしれないが、これにより6連符のフレーズを連続してもグルーヴを失わないという大きな効果がある。これがデカい。一方でこのソロでやってい るような組み合わせで演奏するのはテクニック的にかなりむずかしい。4小節目の6連符と、7、8小節目の6連符で動きが違うのだが、どちらもピッタリとオンタイムにまとまっているのは高度なテクニックである。褒めちぎる。ただ、3、4小節目のポリリズムのところだけはRichard先生ヤバいと思ったのか、ハイハットを踏むのをやめている。この一瞬の判断力も先生のスゴイところだ。やはり褒める。
楽曲のハイライトに与えられた8小節、音程のあまりないドラムでストーリーを奏でることができるか?ドラマー、いやミュージシャンの真価が問われる8小節だ。
お前らもっと Incognito - Hold On To Me の凄さを知るべき
アシッド・ジャズって言葉を最近聞かないなあ。かつて自分が青春一直線だった頃、とても流行っていたのだ。サウンドはシャレオツなクラブミュージック的で、かつ人間がバンド形式で演奏し、あまり打ち込みをしないというところが生楽器派としては大きなポイントであった。
Incognitoといえばアシッド・ジャズの代名詞的バンドだ。このたびはIncognitoのアルバム「Beneath The Surface」から「Hold On To Me」の冒頭部分をお送りしよう。
たいせつなのは、ドラムパターン奇数小節一拍目の16分4つ目のスネアのアクセントと、つづく2拍目の16分裏キックだ。ベースのフレーズと呼応してグルー ヴを生んでいる。ドラムとベースとどちらを先に作ったのだろうか。じつにファンキーである。このように2拍目4拍目のバックビートを外して別のところにア クセントを持っていくのはファンクなドラムパターンの常套ではある。
このアルバムはよく聴いたものだ。その良さを「反吐が出るほど良い。」などと表現していた。ドラマーは、Jeff BeckのBlow by Blowで若くして(?)ゴーストノートをふんだんに炸裂させていたRichard Baileyだ。私は一字一句、一挙手一投足を精緻に聞き分け、生身のドラムからどのようにグルーヴが発生するのか研究を重ねたのだった。そのファンクグ ルーヴと安定感は洗練という言葉がふさわしい。だが、このスゴさ加減はどうやらドラマーにしかわからないらしい。スポーツ関係の有識者に、スゴい野球選手 やサッカー選手について力説された時と似た建て付け。強い興味がないのでどのようにスゴいのか理解できないのだ!
次回は同曲のドラムソロを一挙公開!譜面が長くなるので2回にわけてお送りする。なお、譜面は出版物のコピーをしているのではなく、自分で耳コピしたものを自分で書いておこしているが何かに引っかかるだろうか。