HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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そろそろ Stevie Salas - The Harder They Come が本気を出すようです

この虹色サイケデリックなジャケットを見よ!ということで、ヘビーでサイケデリックなギタープレイで人気のStevie Salasのかなり初期(デビュー?)のアルバム「Colorcode」から「The Harder They Come」を見てみるとしよう。

 

Colorcode

Colorcode

 

 

この曲は(16分音符2つ=16分3連符の1つ目と3つ目)つまりSwingで演奏する。楽譜にそれを示すアレを書くやり方がわからなかったので言葉で書きました。

 

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イントロ部分は上記のようにジャズでプレイするようなハイハットオープン・クローズのパターン。HeyだのAhだの、ゆるい合いの手。そして時が来て、ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ!極めてシンプルでストレートな男気あるキメで次のリフに突入!

 

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男気からの直後の基本パターンはこんな感じ。まず耳に入ってくるのは、滑稽なほどウザったい圧力あるサウンド時代だね。音作りとしては時代を感じさせるものの、そのファンキーさは色あせていない。

また、Swingなので16分が二つ連続しているところは思いのほか間隔が狭いので注意だ。安定的なダブルキックが必要だ。その上、このファンキーなハネたグルーヴを発生させるためには、キチンとSwingの3連符の3つ目と次の1拍目とを踏み分ける必要がある。ワイルドなサウンドとは反して、割りとテンポの速い中で繊細なテクニックが求められるプレイなのである。

 

そういえば、ドラマーじゃないある人が「これは変拍子だ」と言っていたのを思いだす。決して変拍子ではないのだが、1小節目4拍目の裏のスネアのアクセントと、2小節目の8分裏のキックがそう感じさせる模様である。もしかしたら彼は変拍子」とただ言ってみたかっただけなのかもしれない。ちなみに、いろいろな(音楽的)バックグラウンドの人が「変拍子」と言うのを聞くが、自分のおもう定義と一致することが少ない。例えば、16分音符の連打を5つに区切ってアクセントをつけるなど、トリッキーなプレイを奏でたとしても、4/4である以上は変拍子ではありません。さてあなたの定義はいかが!?

 

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誰も知らなかった David Bowie - Heroes

今回は追悼という事でDavid Bowieの曲をとりあげてみよう。David Bowieの楽曲の中でも特に有名だと思われる「Heroes」だ!

 

ヒーローズ

ヒーローズ

 

このポーズもマネしたよねー。

 

私が高校生の時、たまたま友人に借りたDavid Bowieのアルバムを、訳もわからずなぜか集中して聞いていたことを思い出す。特によく聞いていたのはThe Man Who Sold the WorldChangesだったなあ。懐かしいなあ。そんな青春のアーティストが亡くなってしまうとは。一方で、昨月はこれまでの人生で経験のない最繁忙で悲しんでいる余裕はなかったのだった。

 

さて、ドラムのパターンは以下のような感じで、たまにハイハットがオープンしたり、あえて定形に揃えているタムを絡めたフィルインが入ってくる。ゆったりとした楽曲にマッチした穏やかさを感じるプレイである。

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ただ、今回実はドラムプレイが特段どうのということではない。
歌が一まわりした最後の「Just for one day」の直後。その金物が入ってくるタイミングにご注目だ。


(2:51~)

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キリの良いアタマの小節から入ってくるのではない。すこしフライングで入っているのだ!これにより間延びした感じが軽減されつつ、楽曲全体として過度に整列した感じが薄められる。言葉で表現するのは難しいが、なんと気が利いていること!

次の展開では、歌のメロディが全て1オクターブ上がり、突然心の叫びを吐き出すような感極まった盛り上がりをみせる。そして、私の考えるこの曲一番の感動のハイライト。タンバリンのカットイン!


(3:51~)

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ちょうど一分前の(2:51)と同様に歌が一まわりした最後の「Just for one day」の直後、すこし半端なタイミングで入ってくる。このタイミングがなんともいえず秀逸なのである。ただのタンバリンのはずなのに泣ける。聴いた時の体調によっては泣けてしまう。泣ける打楽器ってのはなかなかないよ。

また、あまり意識しないうちに一つづつ音が重なって、知らぬ間に多数の音が重なり盛り上がっていることに曲の後半で気づく、というサブリミナル効果もある。ちょっとしたパーカッションだが楽曲全体を彩っているね。

もしかしたら、私の感じる秀逸さがあまり伝わらないかもしれない。ちょっと今回は自信がない!

 

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マスコミが絶対に書かない Ojos de Brujo - Color の真実

最近はだいぶ古い楽曲が多かったので、もう少し近いところで見てみよう。といっても、もう10年くらい前のこと、にわかに一世を風靡したバンド、Ojos de Brujo(オホス・デ・ブルホ)である。なにしろ、ヒップホップとフラメンコが融合しているというのである。そんな彼らのアルバム「Techarí」の一曲目「Color」をおおくりしよう。

 

テチャリ(初回限定版)

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本曲を聞いてみると、まずもって拍子をとらえることが難しい。きっと拍子があるのだろうが、非常に混沌としたなかで楽曲が進んでいく。パーカッションやらなにやら多彩な音色が混ざり合っていて強いカオス感である。そんな混沌の中、整合性の光が一筋やってくるのが以下の部分である。

 

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6拍子のブリッジ的セクションである。ここへ来てどうやらこの曲は6拍子だったんだと気付かされる。なんとなく後ろの2拍が字余りな感じがしつつも、1小節目と3小節目が繰り返されていたり、洗練されたホーンのフレーズがキメられていて、しっかり計画的なセクションだということが分かる。 

 

ドラムのほうはというと、キックやハイハットオープンのアクセントが、ベースとホーンセクションのリズムにバッチリとキマっている。そのバッチリさ加減と同時に、シンバルの非常に爽やかなサウンドにも注目したい。ココ最近では一番好きな音だ。少し小さい口径のクラッシュシンバル、いや少し大きめのスプラッシュシンバルあたりだろうか。これは実に軽快ですな!真似してみたいサウンドである。

 

混沌としていて、4拍子になれている者からすると不思議なグルーヴをもった楽曲である。そんなグルーヴを生んでいると考えられるのが、好き勝手に入っているように聞こえる多様な楽器たちである。少なくとも、ベース、ホーン、2種類のカッティングギター、シェーカー、ボンゴ、ボーカル、スクラッチ謎のイフェクトがおのおの独自のリズムで重なっており、賑やかな祭り的グルーヴを醸し出している。そうなのだ、ドラマーがいくら上手くったって実現しないのがバンドのグルーヴ。ときには謎のイフェクトを演奏してもらうよう、バンドのメンバーにお願いしてみよう!

 

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