HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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普通じゃ満足できない Lenny Kravitz - Where Are We Runnin'? マニアのあなたに

緊急事態ではなくなったようなのだが感染者数はむしろ増えていて、なんとも活動しがたい今日このごろ。気にせずこれまでのように活動できることを願いつつ、いま一度、シンプルなグルーヴを確認してみたい!

音楽界のLeonardo da Vinciこと、Lenny KravitzのアルバムBaptismよりWhere Are We Runnin'?という曲!

Baptism

Baptism

  • アーティスト:Kravitz, Lenny
  • 発売日: 2004/04/16
  • メディア: CD
 

「Leonardo da Vinciこと」といきなり言われてもなんことやら。その場合はコチラの過去の記事をご参照

Where Are We Runnin'? 一曲まるごと公開!

なんと今回、本曲一曲のドラムをすべて採譜した。著作権等々がこわいところであるが蛮勇をもってすべて公開してしまおう!

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そう、完全にずっと一小節目と同じなのである。冗談はさておき、聴いてもらえればすぐにわかるこの感覚はなんだろうか。超絶シンプルなプレイ。それでいて、そんなにテンポが速くないのに速く走っている感じ(テンポは130~131BPMの間のどこか)。We are runningな推進力のある感じはどこから来ているのか。

正解は、均等ハイハット

ハイハットに音の強弱をつけない、が正解でした。つい癖でハイハットに音の強弱をつけてしまうことがあると思うが、本曲の表情を決定付けてしまうので意識的に強弱をつけないように均等にすることが必須である。ここが最も重要である。もっというと均等にハイハットを打つ以外にこのような推進力を生み出す方策は端的に存在しない。したがって、次の譜面は本曲とはなり得ない。

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明確に意識して次の譜面でなければならない。

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力説しておきながら、あまりに全小節が同じなのでもしかしてうまく切り取ってループしてるかな?だとしたらちょっと残念。人間が演奏したものであってほしい。彼ならきっと切り貼りせず全部演奏していると信じています。

なおこちらでもしつこく同じことを主張しているのでご参考まで

 

ストレートで無感情なプレイヤー

またシンプルなプレイという観点では、彼のアルバム「5」に収録のStraight Cold Playerという曲において、同じく超絶シンプルなループを疑うプレイが登場している。 

Straight Cold Player

Straight Cold Player

  • 発売日: 1998/12/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

しかしそこでは均等ハイハットではなく、腕または手首をアップダウンさせた音の強弱とスネアのゴーストノートが入っており、We are runningな推進力という方向ではなくバウンスするという方向のグルーヴである。Straight Cold Playerというタイトルであり、プレイヤーを「ストレートで無感情である」と形容しているので、これも人間が演奏したものですよね?まさかDTMのループを「ストレートで無感情である」と形容しませんよね...?......私は彼を信じています。

井上陽水 - 夕立 であなたの人生が変わったらすみません。

井上陽水 - 夕立

昔聴いていた楽曲をひたすら聴き続ける生活を続けていたところ、前回と同様に挙げておかなければならないものを再発見!なんと今回は井上陽水だ!!

シングル・コレクション

シングル・コレクション

  • アーティスト:井上陽水
  • 発売日: 1996/09/01
  • メディア: CD
 

井上陽水がなぜこのブログに?フォークとか素敵ハーモニーの歌謡曲ですよね?いいえ、極めて良質なファンクロックグルーヴに乗せて歌も激アツです。それはYOSUI SINGLE COLLECTION他に収録されているこの曲夕立

ファンキーからの3拍子からの激熱

最初から歌の一番の終わりあたりまで!

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ギターリフとリズムギターが織りなすファンキーなイントロである。これは何風といえば正しいのか、いろいろな表現がありそうである。譜面上「A」のところからドラムの基本パターンが始まって「B」から歌が入ってくる。15小節目では12/8(または6/8が2つ)がはさまっている。この急な3拍子が効果的であり、楽曲の大きな特徴となっている。その直後の16小節目アタマの「る、う、うッ」がシンプルにアツい!

ドラムの他に、ロートタムかなにかのサステインのない音が重なっている。夕立の雨粒がトタン屋根に当たって鳴る音のように聞こえて、夕立の緊迫感や臨場感を増している。このタム的な音によりドラムセットのスネアの音が判別し難いところもある。その一方で、キックは譜面のように16分音符系でたくさん動いていることがわかった。普通に聴いても分からなかったのだが、イコライザー0kHz(最重低音)~80kHzくらいの音程の音量レベルを上げたところハッキリ聴き取ることができた。15小節目でこんなにたくさんキックしているとは知らなかった。

歌ものにあるまじき拍子がはさまっている

歌の二番が入ってくる「C」あたりからの続き:

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24小節目に同じく3拍子がはさまって「る、う、うッ!」とキメたそのあとである。「D」からスネア頭打ちになって、もはや文字で表現できない歌詞を陽水はついに叫びはじめる。そして次の瞬間に3/8!ゆーうだっちだ、あ、あッ!!なんと歌ものにあるまじき拍子3/8がはさまっているのである。それでいて、この曲にはこれ以外にはない、と思わせる自然さで。これはすごい。だれがかんがえたんだろう。また、30小節目3、4拍目のハイハットをからめた「タカドチ!タドチ!」も小技が効いていて素敵な真似したいフレーズである。

チートレベルのいい声

親が聴いていたとか、マニアな友達がいたとか、きっかけがなければ井上陽水のヒット曲以外の曲はほとんど知られていないのではないか。自分はたまたま友達がYOSUI SINGLE COLLECTIONをよく聴いていてオススメされ、歌ものとして好きになったというのがきっかけでありドラムやグルーヴというキーワードで聴いたわけではない井上陽水についてかつて取り沙汰されたのは、不思議な歌詞だったりトークで垣間見えるキャラクターだったりしたが、自分はそのいい声に特に惹きつけられた。いい声過ぎてもはやチートである。ズルい。いい声で人々を惹きつけてみたい。

SNAIL RAMP - STEP BY STEP に出会っていなかったらと思うと、ぞっとします。

 

緊急事態宣言にまで状況が悪化して仕事場も閉鎖。インドアが板について、ひたすらに音楽を聞いている時間が著しく増える今日このごろ。片っぱしから曲を聴いて、懐かしの楽曲に数年ぶりに出会う、ということを繰り返している。

SNAIL RAMP - STEP BY STEP

今回はなんと、そんな中で一番あーこれ聴いてたわーと感慨深かったSNAIL RAMP!!懐かしのスカコアである。SNAIL RAMPのアルバムFLATFISH COMES!から、かれこれ20年以上も前なのに色あせないプレイを確認!

FLATFISH COMES!

FLATFISH COMES!

  • アーティスト:SNAIL RAMP
  • 発売日: 1997/09/21
  • メディア: CD
 

むしろここはそんなに難しくないんだけど

モンクアザラシかな?アルバム一曲目のSTEP BY STEPのイントロがコチラ!

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ドラムのISHIMARUさんは兎に角ウマい。ウマすぎる。SNAIL RAMPが他のバンドを一線を画しているのは彼のプレイが大きく寄与しているのではないか。SNAIL RAMPのすべての曲において最高でジャストミートなプレイなので、どの曲も詳しく確認したくなる。が今回は、私が20年以上前に参加していたパンクバンドにてカバーしたことがあったので一つの例としてSTEP BY STEPを選んでみた。

当時そのバンドで本曲をライブで演奏したあとに、あるオーディエンスからこの最初のタカジャーーーーーン、タカジャーーーーーンの動きが速くてスゴイ。俺にはできない!などと言われたのを思い出した。むしろここはそんなに難しくないんだけど、なぜだか気を引くフレーズらしい。

統制のとれた爆速パターン

中盤でギターソロが始まるところ!

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6小節目からパンクドラムではよくある形のパターンとなるが、そのタイム感、ダイナミクス、16分裏のキック等々がパーフェクトに統合しているので、ワンランク、ツーランク上のプレイである。テンポ約200BPMの爆速でこの統制のとれたプレイ。最高っス先輩。

オススメの神曲

ドラムにフォーカスするため本曲を取り上げたが、総体的に楽曲として好きなものは他の曲だったりする。例えば本アルバムの2曲目BREAKAWAY神曲。カバー選曲、ピアノの参加、荒削りさ等々、すべての必然とすべての偶然が功を奏する奇跡である。その他には、捨て曲が存在しないでおなじみのアルバムMR.GOOD MORNINGに収録の曲A WOMAN WITH A STORYSTILLも神。パンク×ピアノとかパンク×ストリングスみたいな組み合わせが単に自分が好きなだけかもしれないが、SNAIL RAMPのなにがそんなに一線を画するのかわかると思うので聴いたことない人はぜひ!

MR.GOOD MORNING

MR.GOOD MORNING

  • アーティスト:SNAIL RAMP
  • 発売日: 1998/08/08
  • メディア: CD