Incognito - She Wears Black に癒される女性が急増中
今回はIncognitoのアルバム「Beneath The Surface」より「She Wears Black」をおおくりしよう!
当アルバムはどこを聴いてもRichard Baileyの洗練されたプレイが爆裂。いつだって私のお手本になっているのです。
以前も数回取り上げているのでご参考。
さて、本曲冒頭のフィルインからの基本パターンはコチラ。
わりと速いテンポに乗せて左足で常にハイハットを踏み鳴らしている。このテンポでこの8分の足踏みをやってみると、体全体を使ってノラなければならないことが分かる。シンプルエレピがなにげなく醸しだす緊張感の中で、右手左手右足左足を総動員で乱れずにコーディネートさせなければならない。意外に体力が必要なプ レイである。
ここでのポイントは、右手のライドシンバルの巧みな処理にある。4分音符のアタマはライドシンバルのカップを叩き、その全ての裏拍ではライドシンバルのカップ以外の部分を16分音符で2つ刻む。大きなタイム感では4分音符のきらびやかなカップの音色が目立つところ、裏の刻みが小さな音でわずかに聞こえ、クールに流れるようなグルーヴを生んでいる。これもやってみるとわかるが、右手はかなり忙しい動きになる。しかし彼のこのプレイは忙しさを感じさせない。これぞ、水に浮かぶ白鳥の水面下のバタ足!
本曲は他にも注目したいプレイがまだまだ沢山。また別途取り上げてみたい。
そろそろ Stevie Salas - The Harder They Come が本気を出すようです
この虹色サイケデリックなジャケットを見よ!ということで、ヘビーでサイケデリックなギタープレイで人気のStevie Salasのかなり初期(デビュー?)のアルバム「Colorcode」から「The Harder They Come」を見てみるとしよう。
この曲は(16分音符2つ=16分3連符の1つ目と3つ目)つまりSwingで演奏する。楽譜にそれを示すアレを書くやり方がわからなかったので言葉で書きました。
イントロ部分は上記のようにジャズでプレイするようなハイハットオープン・クローズのパターン。HeyだのAhだの、ゆるい合いの手。そして時が来て、ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ!極めてシンプルでストレートな男気あるキメで次のリフに突入!
男気からの直後の基本パターンはこんな感じ。まず耳に入ってくるのは、滑稽なほどウザったい圧力あるサウンド!時代だね。音作りとしては時代を感じさせるものの、そのファンキーさは色あせていない。
また、Swingなので16分が二つ連続しているところは思いのほか間隔が狭いので注意だ。安定的なダブルキックが必要だ。その上、このファンキーなハネたグルーヴを発生させるためには、キチンとSwingの3連符の3つ目と次の1拍目とを踏み分ける必要がある。ワイルドなサウンドとは反して、割りとテンポの速い中で繊細なテクニックが求められるプレイなのである。
そういえば、ドラマーじゃないある人が「これは変拍子だ」と言っていたのを思いだす。決して変拍子ではないのだが、1小節目4拍目の裏のスネアのアクセントと、2小節目の8分裏のキックがそう感じさせる模様である。もしかしたら彼は「変拍子」とただ言ってみたかっただけなのかもしれない。ちなみに、いろいろな(音楽的)バックグラウンドの人が「変拍子」と言うのを聞くが、自分のおもう定義と一致することが少ない。例えば、16分音符の連打を5つに区切ってアクセントをつけるなど、トリッキーなプレイを奏でたとしても、4/4である以上は変拍子ではありません。さてあなたの定義はいかが!?
誰も知らなかった David Bowie - Heroes
今回は追悼という事でDavid Bowieの曲をとりあげてみよう。David Bowieの楽曲の中でも特に有名だと思われる「Heroes」だ!
このポーズもマネしたよねー。
私が高校生の時、たまたま友人に借りたDavid Bowieのアルバムを、訳もわからずなぜか集中して聞いていたことを思い出す。特によく聞いていたのはThe Man Who Sold the WorldとChangesだったなあ。懐かしいなあ。そんな青春のアーティストが亡くなってしまうとは。一方で、昨月はこれまでの人生で経験のない最繁忙で悲しんでいる余裕はなかったのだった。
さて、ドラムのパターンは以下のような感じで、たまにハイハットがオープンしたり、あえて定形に揃えているタムを絡めたフィルインが入ってくる。ゆったりとした楽曲にマッチした穏やかさを感じるプレイである。
ただ、今回実はドラムプレイが特段どうのということではない。
歌が一まわりした最後の「Just for one day」の直後。その金物が入ってくるタイミングにご注目だ。
(2:51~)
キリの良いアタマの小節から入ってくるのではない。すこしフライングで入っているのだ!これにより間延びした感じが軽減されつつ、楽曲全体として過度に整列した感じが薄められる。言葉で表現するのは難しいが、なんと気が利いていること!
次の展開では、歌のメロディが全て1オクターブ上がり、突然心の叫びを吐き出すような感極まった盛り上がりをみせる。そして、私の考えるこの曲一番の感動のハイライト。タンバリンのカットイン!
(3:51~)
ちょうど一分前の(2:51)と同様に歌が一まわりした最後の「Just for one day」の直後、すこし半端なタイミングで入ってくる。このタイミングがなんともいえず秀逸なのである。ただのタンバリンのはずなのに泣ける。聴いた時の体調によっては泣けてしまう。泣ける打楽器ってのはなかなかないよ。
また、あまり意識しないうちに一つづつ音が重なって、知らぬ間に多数の音が重なり盛り上がっていることに曲の後半で気づく、というサブリミナル効果もある。ちょっとしたパーカッションだが楽曲全体を彩っているね。
もしかしたら、私の感じる秀逸さがあまり伝わらないかもしれない。ちょっと今回は自信がない!