HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

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Steve Vai - Kill The Guy With The Ball よさらば

小さい頃、彼自身のウィニーでよく遊んでいた(※)と思われる師匠のミニアルバム「Alien Love Secrets」から、Deen Castronovoの高速テクニカルドラムプレイが光る「Kill The Guy With The Ball」(邦題:殺戮の舞踏会、拙訳:死球 - あの球であいつを殺せ)を立て続けにドーーーン!!今回は曲の途中の部分をみてみよう!!

 

エイリアン・ラヴ・シークレッツ
 

 

(※)ウィニーで遊ぶとは?!

Alien Love Secretsに収録されている「When i was a little boy」にて語られているストーリーをご参照。http://www.vai.com/forum/viewtopic.php?t=9673

 

(0:55-1:10)

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注目したいのは、6小節目3拍目の3連符。はるかむかし20年以上前にさかのぼる。Alien Love Secretsが発売されたとき、吉祥寺か新宿かのタワー・レコードで試聴した際に、この部分になぜだか非常に感銘を受けたのである。当時、友達に「ここだけテンポが変わっているように聴こえる!」「これを難なくバンドで演奏するのはスゴイ!」などと、しきりに熱っぽく語ったのだが全く想いが伝わらなかったのを覚えている。時空を超え、誰かにいまココで当時の想いが伝われば......

テンポが変わっているように聴こえるのは、5小節目から始まるギターの1拍半フレーズが、音程の上下を変えずに6小節目3拍目でリズムだけ3連符に変わるからである。

年をとって感受性が落ちて感動できなくなってしまったのだろうか、いま改めて聴くと少しありがちなような気もしてきた。。。

 

(1:10-1:22)

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直後の「ダダダダッダッダッダッダッダッダ」のキメと、その次の小節のドラムソロのところ。10小節目の32分音符のプレイは、イントロの32分音符のフレーズに非常によく似ており、6+4の塊が見られる前回の記事をご参照)。ここまでテンポが速いと、さすがの彼も同じフレーズを繰り出さざるを得ないが、32分音符を埋めるだけでもやはり難易度は高い。

12小節目の6連符のプレイは、わかりにくいのだがよく見ると右手+左手+右手+右足の4打が繰り返されていることがわかる。とっさに6連符で空間を埋めようとなれば手だけでタムを回してしまうことが多いと思うが、そこに足を含めたリニアフレーズを入れてくるあたり彼はやはり凄腕である。

 

ところで新宿JAM閉店に伴うライブが12/17に迫っている(過去の記事をご参照)。思い出のライブハウスの最後なので本業のドラムで満を持して参加したいのだが、演奏予定の12曲中、なんと11曲はキーボードで1曲だけドラム!このバンドは一度脱退し、新ドラマーを迎えた数年後に出戻りをしたため、そういえばわたしは現在キーボードでの加入だったのである。若いときの軸がブレッブレの行動が今ここに悔やまれるのであった!

 

片手にピストル、心に Steve Vai - Kill The Guy With The Ball

わたしの尊敬するギタリストであるSteve Vaiが再登場!他のアルバムとくらべて曲数が少ないミニアルバムの「Alien Love Secrets」からご紹介。全身銀粉で覆われて何を考えているのか分からないところもわたしが尊敬するところだ!

 

エイリアン・ラヴ・シークレッツ
 

 

 Alien Love Secretsといえばもちろん、ドラマーDeen Castronovoの高速テクニカルプレイがすばらしい、Kill The Guy With The Ball(邦題:殺戮の舞踏会、拙訳:死球 - あの球であいつを殺せ)。曲の冒頭の高速プレイを分析し、できるようになってみよう!

 

過去のSteve Vai関連記事はコチラ 

 

(00:00-)

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曲はドラムのタム回しから開始。2小節目はフラムをいれたタム回しのようにも聴こえたが、スローで聞いてみるとフラムでなくシッカリと32分音符となっていた。

3小節目からは人が喋っているような奇妙なギタープレイが始まり、と同時にドラムのほうは世にも画期的なパターン。右手フロアタム、右足、左足、の3つを使って、途切れない高速3連符の重低音を実現!これを継続しながら、左手ではスネアのバックビートや、時折シンバルやタムを織り交ぜるなど変化を付ける。なお、右手フロアタム、右足、左足の存在感がありすぎて楽譜が見づらいのでスネア部分には全てアクセントを記載しております!

3連符がいっぱいで目が疲れてきた。プレイすればもちろん右手、右足、左足は限界だ。しかしここまででたった25秒の出来事である。そして奇妙なギタープレイは一段と盛り上がり、リフに入る直前でドラムの超高速フレーズで最高潮に達する! 

 

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ここまで曲の長さにして36秒。1秒あたりの採譜所要時間が過去最高レベルを記録だ。いやそんなことはどうでもよく、問題はこの17、18小節目の爆速32分音符フレーズだ。よく見てみると全くのランダムにプレイしているのではない。スネアの位置がヒントとなる(先ほどと同じく、スネアに全てアクセントを記載している)。32分音符の最初の部分を見ると、6個+4個が2回繰り返されていることがわかる。また、その6個のフレーズでは、必ずスネア+ハイタム+フロアタム+フロアタム+バスドラ+バスドラ、といったように同じ形が繰り返されている。スピードが単純に速いため難易度は高いが、このあたりをガイドとしていけば、同じように演奏することができるだろう。

 

ドラマーのDeen Castronovoを調べてみると、ドラムが超絶な上に歌も上手いらしい。さらにもっと検索上位に出てくるのが、暴行で逮捕がどうのこうのいう話題。バンドでドラムパートを表現する言い回しに、Assault and Batteryというのがあるのは不幸なことである。バッドエンドでまた来週!

 

(2017/12/7)14小節目が完全に間違っていたので訂正。

Jamiroquai - Space Cowboy が俺にもっと輝けと囁いている

Jamiroquai - Space Cowboy

今回は原点に立ち戻り(?)、アシッドジャズ的プレイを見てみることにしよう!以前も取り上げたJamiroquaiの1994年リリースのアルバム「The Return of the Space Cowboy」。CDが擦り切れるほど聞いたこのアルバムより「Space Cowboy」のアシッドでジャズなプレイを確認!

 

スペース・カウボーイの逆襲

スペース・カウボーイの逆襲

 

  

以前の記事はこちら。 

 

16分音符を基調とした細かなプレイ

マッタリと濃厚なRhodesが左右にパンニングし、Jay Kayの柔らかな浮遊するボーカルが乗ってチルアウトするサウンドである。涼しい~。そんな中、ベースとドラムパートの16分音符を基調とした細かなプレイが中々にソソる作りとなっている。ドラマーはDerrick McKenzie。彼は元々(今も?)左利きだったようで、そのためなのか、心なしか左にアクセントが付く部分がスムーズであるように思う。

 

(00:00-)

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本曲のドラムの基本パターンでは、16ビートを両手でプレイする中に3・4拍目にハイハットオープンがウチーチーとさり気なく入る。とてもオシャレである。10小節目はフィルインを含む小節で、見ての通りハイハットとスネアがキレイに16分を埋めている。16分の手の動きそのままに省いたりしないでハイハットとスネアを行き来してフィルインを形作っているのだね。

 左手に神経を集中である

(00:27-)

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14小節目はサビに入る直前の小節。鮮やかに16分裏のシンコペーションでのサビ入りでございます。4拍目は左手でハイハットオープンのアクセントと、直後また左手でシンバルでアクセント。この左手でのシンバルのアクセントをスムーズにプレイすることが非常に重要である(譜面上、赤字にしているシンバル)。スタジオなどにおいてある一般的なドラムのセッティングにおいては、ハイハット両手で刻みつつの左手シンバルは距離が遠くなりプレイしにくい。そのため、左のシンバルをハイタム上空ではなくハイハットの上空など、必要に応じていつもより近い位置にするとよいだろう

15小節目からはサビ。キーボードとベースに合わせるようにハイハットオープンでアクセントを付ける。16分裏の裏でめくるめくアンティシペーション、シンコペーションここでもやはり左手に神経を集中である。時折32分音符でチリチリと装飾することもお忘れなく。なお、アンティシペーションとシンコペーションの違いは下記をご参照。一言で言うと諸説あり!

バランスが取りづらいパターン

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22小節目からはベースと呼応する形での毛色の変わったセクション。8分裏のハイハットオープンをキープしつつ、すべての小節で右足だけ16分裏シンコペーションしており、さらにスネアも少し変わった位置にある。かなりバランスが取りづらいパターンであるが、変則的であるがゆえに楽曲の特徴にもなっているのでこのままコピーしてプレイしたいところだ。 

最近の若者はどうなのかな?

私などはこのあたりの年代の曲が原点であり、聞いて真似して勉強していった訳だけども、最近の若者はどんなジャンルやアーティストが原点なのだろうか。Blink-182とかなのだろうか。いや、そういえば10歳以上も離れているバンドメンバーの若者にきいてみたら、Earth Wind & FireBootsy CollinsTower of Power、別の系統だとなんとLee Ritenourが挙がったりしていたので、思うほど流行り廃りは無いのかもしれないね! 

 

(2020/9/27 リンク切れを修正)