1年後に差がつく Frank Zappa - Andy
米が買い占められる昨今
マスクやティッシュペーパーの買い占めが問題となっている昨今、ついに近所のスーパーでは米が買い占められる事態に!自身のバンドのちょい出演だけでなく、今年一番ビッグなマイルストーンとなる予定であったワンマンライブも敢えなくキャンセル。期せずして文字通り幻のワンマンライブとなってしまった。バンドで密集もできず濃厚接触もできないこんな世の中じゃ、オンラインで記事を投稿する他ない!
さて前回のつづきで、Frank ZappaのアルバムThe Best Band You Never Heard in Your Lifeから、Andyの興味深い部分をひきつづき確認!
前回の記事はコチラ
これでもう一曲作れんでしょ!
曲の序盤がひと段落して冒頭のテーマに戻った次の展開。
(1:27-)
1~4小節目までは、本曲冒頭から登場しているテーマの部分。その次の5小節目から突然最高峰にゴキゲンなセクション。こんなところに8小節だけ挿入しないで、これでもう一曲作れんでしょ!といった感想を抱かざるを得ない超絶グルーヴ。その要素は次の3つ:
- キメのフレーズが明確で、ドラムやホーン等々が綺麗にアンサンブルしていること。上の楽譜のピンク色の音符がキメの部分に該当する。
- ピアノと、特にベースの活発な16分音符の動き。楽譜にできないので聴いてもらうしかないのだが、グルーヴを一つ高みに押し上げている。
- そして中でも最重要なのがなんとタンバリン!影の立役者、いや、もはやこの犯罪的グルーヴを作ってしまった黒幕。なんてことはない裏拍打ちであるが、要素1と2と絶妙に調和し極めて効果的である。感極まって蛇足と知りながら楽譜に起こす!
逆に安心、変拍子定期
最初に貼った楽譜の一部だが、記事がだいぶ下へ来てしまったので、13小節目から再掲。
(1:50-)
別の曲がつくれそうな8小節の直後は21/16のセクション。いつものZappaが出てきて逆に安心、変拍子定期。本曲で複数回登場するモチーフの一つである。まえの小節の最後の8分音符分から開始して、5つで区切ったような感じになっている。変拍子の小節のアタマから変なものが開始するのではないのでとても合わせにくそうだ。ライブでここまで完全に合わせられるのは、まさにこのThe best bandだけであろう。
ミュージシャン殺しの緊張感のあるセクション
本曲冒頭のテーマの部分に似ているが、ちょっと異なる緊張感のあるセクションがその後に登場してくる。いつものことながら曲の構成が目まぐるしい。
(2:13-)
フレーズが冒頭のテーマと似ているということと、その半端な小節数とがミュージシャン殺しのセクションである。1小節目、このセクションに入ったことをしっかり覚えていたのはドラムのChad Wackermanだけ。さすが。ほかの人は残念、覚えてなかったので音を出せませんでした。9小節目の3拍目もおしい、ドラムだけ正解。そして13小節目に冒頭のテーマと同じものに戻る。12~13小節目ではきっとChad Wackermanが「次だぞ、次。また間違えんなよ!?」とばかりにメンバーをニラんでいた、もとい、ガイドとなるべくアイコンタクトをとっていたに違いない。13小節目の4拍目のシンバルのアクセントの強さに、バンドメンバーの緊張からの解放と安堵が聞こえてくるようだ。
3月下旬にあって今日は雪まで降って、感染症の恐れもあって近日は完全にインドアである。The best bandに少しでも近づくべく、早く外に出てスタジオに入り、ライブで演奏するなど、精力的に活動したいものである。
Frank Zappa - Andy だっていいじゃないか にんげんだもの
またまた懲りずにFrank Zappaのお時間!!しかも何度も登場しているアルバムThe Best Band You Never Heard In Your Lifeから。音楽プレイヤーのプレイリストの真ん中あたりにこのアルバムが残っていて消さないものだから、なんとなく聞いてしまい、取り上げたくなり極めてしつこいことに。
同アルバムの以前の記事はコチラ:
前編
後編
Frank Zappa - Andy (The Best Band You Never Heard In Your Life)
The Best Bandという名に恥じないベストなトラックがたくさん。その中からこの曲Andy!ドラムを担当するのはChad Wackermanだ。最初のテーマのところはこの様になっている。
(00:08-)
メロディを奏でられる楽器も、このスネアのリズムで単音で吹く。One Note Zappa。リズムだけを表現。このリズム自体にはなんの意味も感じられないが、空間があって全員で合わせるのでバンドメンバーの緊張感は感じられる。上記の楽譜の最後の見慣れない数字が不穏である。
話し言葉のリズムそのまま
そこはもちろんZappa。穏当でない状況が直後に現れる!
(00:23-)
話し言葉のリズムをそのママ強引に乗せているようなので、かなりキツい変拍子のセクションとなっている。きっとたくさんリハーサルしたのだろう。この絵面にも関わらずバンドによどみがないのは驚きである。
歌詞を併記してみる
歌のリズムが見えたらいいなと思い、ためしに歌詞を併記してみる。
歌と歌の間のフワーーーーンが謎であるが、歌のところは話し言葉のリズムそのままであることがわかる。歌詞はずっと同じことを繰り返している。「君に何か良いところがあったらぜひ知りたい。」のだそうだ。意味わからん。何を主張したいのかはわからないが、曲自体、その楽曲構成については極めて興味深いので、もったいないので2回に分けてご紹介したい。次回、同曲のこのあとの興味深い構成と、超絶グルーヴ(!)を確認する。この絵面で超絶グルーヴとは果たして!?乞うご期待!!
Vinnie Colaiuta 最強伝説 - I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizza
- Vinnie Colaiuta - I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizza
- 普通のロックドラム的パターンがズレて、ズレて、ズレる
- もう少し正確に楽譜にすると
- 間をとって8分裏のゴーストノートを書いてみる
- タイムを変化させるようなプレイは流行ってないんだろうか
Vinnie Colaiuta - I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizza
今回はこれもまた20年以上前の楽曲で恐縮ながら、当時の音楽シーンに衝撃を与えた問題作を取り上げよう!
Vinnie Colaiutaのソロアルバムである。タイトルはそのままVinnie Colaiuta!そして1曲目の I'm Tweeked / Attack Of The 20lb Pizzaのアレを確認!
普通のロックドラム的パターンがズレて、ズレて、ズレる
ギターのテーマが始まったところからのプレイがこのような感じ。
(00:19-)
もちろんご注目は9小節目から16小節目までのプレイである。聞いてもらうと明らかなのであるが、普通のロックドラム的パターンが、突然16分音符分ズレて、ズレて、ズレる。ひとはよく、レコードの針が飛んだようだとか、CDが読み込みエラーでスキップしたなどと表現する。8分音符のクリックを聴きながら自分でもトライしてみたくなるプレイである。これまでにないトリックを思いつき、そして実践するVinnieにリスペクト不可避。
もう少し正確に楽譜にすると
この普通のロックドラム的パターンをもう少し正確に楽譜にすると、このようにテヌート的なハイハットと、その裏のゴーストノートのようになるかと思う。
ハイハットをハーフオープンぎみにして強く叩いて、ほんの少し裏拍を叩くか叩かないかくらいの感じ。右手は8分で動かすが裏拍はほぼゴーストモーション的な。したがって、最初の楽譜は厳密には休符が正確ではない(もっとテヌートしているので休符が多すぎる)。その代わり実践向けとしてアクセントのついたハイハットとスネアバックビートのタイミングを明確にするように書いている。
できる限り正確に書くと、こんな感じで最高にわかりにくいことになる。これは嫌だ。
間をとって8分裏のゴーストノートを書いてみる
それなら、間をとって次のように8分裏のゴーストノートを書いてしまえば実践的かつ少し正確になるかも。ついでに、レコードの針が飛んで普通パターンからズレた状態になった部分に色を付けてみた。緑は1拍のなかの16分音符4つ目、ピンクは3つ目、青は2つ目にアクセントがある状態となっている。最初の楽譜とどっちがいいかな。
タイムを変化させるようなプレイは流行ってないんだろうか
多くの高齢ドラマーはこちらの楽曲はすでにご存じのことと思われる。事と次第によっては「Vinnieのソロアルバムのアレ」で伝わるほどの有名トリック。近年このようなタイムを変化させるような興味深いプレイに出くわさないように思うが、流行ってないんだろうか。もしかしたら高齢でないドラマーには、何が面白いのか、高齢者が何をそんなに騒いでいるのかわからないのやも知れぬ。