HBのとってもくわしいドラムレビュー

HBのとってもくわしいドラムレビュー

ドラムスコHBがさまざまな楽曲のドラムプレイをとってもくわしく解説する

English

スポンサードリンク

絶対に失敗しない Frank Zappa - St. Alfonzo's Pancake Breakfast マニュアル

Yes indeed, here we are! ということでFrank Zappaの時間です!

説明が長くなるので詳しいことはWikipediaなどに譲るが、Frank Zappaの楽曲は極めて難解なものが多いことでよく知られている。今回はバンドでのアンサンブルがとても難しい、度重なる変拍子が登場するこの曲「St. Alfonzo's Pancake Breakfast」に挑戦!

Zappaの無数のアルバムにこの曲が複数収録されているが、初回に発表されたのはおそらく1974年リリースのアルバム「Apostrophe (')」と思われる。

 

アポストロフィ(紙ジャケット仕様)

アポストロフィ(紙ジャケット仕様)

 

 
曲のアタマはヴィブラフォンのソロ。Zappaお得意の謎のフレーズで幕開けである。ライブ版にて、この曲に入るキッカケとして「あのお馴染みフレーズがやってくるぞー!次の曲はSt. Alfonzo's Pancake Breakfast!!」なんて感じでZappaが叫んでいるバージョンがあったと思う。この謎のフレーズを特に気に入っていたに違いない。

イントロ部分が終わって、a tempoになったところからのドラムはこんな感じだ!

(00:23~)

f:id:yujihb:20160407010308j:plain

f:id:yujihb:20160407010340j:plain


今回はなかなか採譜が大変だった。できあがりの見た目はそうでもないように思えるのが悔しいところ!拍子の割り方はもしかしたら違うかもしれないが、ドラム以外のセクションから出来る限り推測した。

見てのとおり5/4や3/4が割りと自由に出てくる。最初の5/4のところの歌詞は「At Saint Alfonzo's Pancake Breakfast」で、この歌詞のリズムにそのまま合致することを優先して曲を作っているものと思われる。歌詞の音節が9個で、最初の8分休符1個をいれると合計で8分音符10個、ちょうど5/4となる。つまり演奏するプレイヤーのことなんか一切お構いなし!

ドラムプレイで難しいと思われるのは、2小節目や9小節目等にでてくる右手→右足を連続させて16分連打しているところ。このスピードで挟み込んで来るか!本曲のドラマーRalph Humphreyの手癖(手足癖)だと思われる。このような手足癖を持っていない場合、この通りプレイするのはちょっと神経を使うだろうね。手癖を真似するというのはそういうものである!

引き続き上記譜面の以降の部分も聞き取って見ようかな。きっと需要はないに違いない!

 

www.amazon.co.jp

Incognito - She Wears Black に癒される女性が急増中

今回はIncognitoのアルバム「Beneath The Surface」より「She Wears Black」をおおくりしよう!

 

ビニース・ザ・サーフェイス

ビニース・ザ・サーフェイス

 

 

当アルバムはどこを聴いてもRichard Baileyの洗練されたプレイが爆裂。いつだって私のお手本になっているのです。

 

以前も数回取り上げているのでご参考。

yujihb.hatenablog.com

 

yujihb.hatenablog.com

 


さて、本曲冒頭のフィルインからの基本パターンはコチラ。

f:id:yujihb:20160402180803j:plain

 

わりと速いテンポに乗せて左足で常にハイハットを踏み鳴らしている。このテンポでこの8分の足踏みをやってみると、体全体を使ってノラなければならないことが分かる。シンプルエレピがなにげなく醸しだす緊張感の中で、右手左手右足左足を総動員で乱れずにコーディネートさせなければならない。意外に体力が必要なプ レイである。


ここでのポイントは、右手のライドシンバルの巧みな処理にある。4分音符のアタマはライドシンバルのカップを叩き、その全ての裏拍ではライドシンバルのカップ以外の部分を16分音符で2つ刻む。大きなタイム感では4分音符のきらびやかなカップの音色が目立つところ、裏の刻みが小さな音でわずかに聞こえ、クールに流れるようなグルーヴを生んでいる。これもやってみるとわかるが、右手はかなり忙しい動きになる。しかし彼のこのプレイは忙しさを感じさせない。これぞ、水に浮かぶ白鳥の水面下のバタ足!

本曲は他にも注目したいプレイがまだまだ沢山。また別途取り上げてみたい。

 

www.amazon.co.jp

 

そろそろ Stevie Salas - The Harder They Come が本気を出すようです

この虹色サイケデリックなジャケットを見よ!ということで、ヘビーでサイケデリックなギタープレイで人気のStevie Salasのかなり初期(デビュー?)のアルバム「Colorcode」から「The Harder They Come」を見てみるとしよう。

 

Colorcode

Colorcode

 

 

この曲は(16分音符2つ=16分3連符の1つ目と3つ目)つまりSwingで演奏する。楽譜にそれを示すアレを書くやり方がわからなかったので言葉で書きました。

 

f:id:yujihb:20160227032045j:plain

イントロ部分は上記のようにジャズでプレイするようなハイハットオープン・クローズのパターン。HeyだのAhだの、ゆるい合いの手。そして時が来て、ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ!極めてシンプルでストレートな男気あるキメで次のリフに突入!

 

f:id:yujihb:20160227032129j:plain

 

男気からの直後の基本パターンはこんな感じ。まず耳に入ってくるのは、滑稽なほどウザったい圧力あるサウンド時代だね。音作りとしては時代を感じさせるものの、そのファンキーさは色あせていない。

また、Swingなので16分が二つ連続しているところは思いのほか間隔が狭いので注意だ。安定的なダブルキックが必要だ。その上、このファンキーなハネたグルーヴを発生させるためには、キチンとSwingの3連符の3つ目と次の1拍目とを踏み分ける必要がある。ワイルドなサウンドとは反して、割りとテンポの速い中で繊細なテクニックが求められるプレイなのである。

 

そういえば、ドラマーじゃないある人が「これは変拍子だ」と言っていたのを思いだす。決して変拍子ではないのだが、1小節目4拍目の裏のスネアのアクセントと、2小節目の8分裏のキックがそう感じさせる模様である。もしかしたら彼は変拍子」とただ言ってみたかっただけなのかもしれない。ちなみに、いろいろな(音楽的)バックグラウンドの人が「変拍子」と言うのを聞くが、自分のおもう定義と一致することが少ない。例えば、16分音符の連打を5つに区切ってアクセントをつけるなど、トリッキーなプレイを奏でたとしても、4/4である以上は変拍子ではありません。さてあなたの定義はいかが!?

 

www.amazon.co.jp