Talco - Signor Presidente と聞いて飛んできますた
今回はイタリアンなラテンオルタナティブバンド、Talcoのプレイを取り上げよう!
Talcoがどんなバンドなのか改めて調べてみたところ、The ClashやSka-Pの影響を受けているとのこと。以前取り上げたSka-Pの影響があるのだと知って、自分はこのサウンドに何故か引っ掛かるものがあるのだなあと思った次第である。
彼らのサウンドは「Patchanka」と呼ばれる一つのカテゴリーらしい。Patchankaというのは、Latin alternativeまたはalterlatinoのことで、オルタナティブ・ロック、エレクトロニカ、メタル、ニューウェーブ、ポップ・ロック、パンク・ロック、レゲエ、スカ、ラテンアメリカの伝統音楽などをミックスしたサウンドを特徴とするらしい。なるほど、分からない!
(前回のSka-Pの記事はコチラ )
Talcoの楽曲は基本的にパワーコードなギターの感じで、各曲聞きくらべてみると似通った構成のものが多いように思われる。コード進行は、Im - ♭VI - ♭VII - Im が複数の曲で多数登場する(例:A#m - F# - G# - A#m)。少し異常とも言える偏りで登場する。だが不思議なことに、どの曲も個性的で、ホーンセクションがシッカリと入り、「ライブで一緒に歌いたい!」と思わせる、著しくキャッチーなメロディが特徴的である。
実際、Talcoのライブ盤「10 Years – Live in Iruña」では、お客が前編に渡って一緒に歌いまくる。これはスゴイ。お客が全メロディを漏れなく歌っているのである。ホーンだけのメロディで歌詞がないパートももちろんのこと、極めつけはギターリフをそのまま歌っているのである。でも、気持ちが分かります。一緒にライブで歌いたい!サイコー!!
そんなキャッチーなバンドTalcoからは、アルバム「Tutti Assolti」から「Signor Presidente」でのプレイをお送りしよう。
基本パターンはメタルやパンクでお馴染みのドンタンドドタンの高速パターン、下記譜面の17小節目のパターンである。(なんて呼ぶのだったかな、ツービート?)基本パターンのバスドラ2連発が少したどたどしいので、もしかしたらツインペダルでなく片足でダブルかな?
その後、曲が一巡して、突然超カッコイイ印象的なホーンのセクションに切り替わり、ハイハットオープンを入れたスカ風パターンになる部分のプレイ!
(4:28~)
ココを取り上げたのは、9小節目から始まるパターンが少し気になったからだ。なんでもなさそうであるが、実は9小節目以降の小節の1拍目と2拍目のスネアのアクセントの位置が少しトリッキーである。
9小節目に来るまでは、2拍目と4拍目がバックビートだが、9小節目以降の小節では2拍目裏と4拍目にバックビートがあり、右手のハイハットと一致するところとしないところが混在する。おそらくはドラマーの手癖であると思われる。狙っていかないとアワアワ、アレレー?してしまう感じになっている。
今回ドラムプレイのかなり細かいところに注目したのは、一聴して「採譜して整理しないと自分がマネできない」と思ったからである。自分用メモである。採譜して整理できて、自分がプレイできるようになった。良かった良かった。
David Sylvian - Pulling Punches 道は死ぬことと見つけたり
キミのドラムライフの調子はどうだい?
さて前回はJapanの楽曲を取り上げてみて、Steve Jansenがなんだか気になってしまったので、今回もまたシツコくSteve Jansenのプレイを見てみよう!
今回はDavid Sylvianのソロアルバム「Brilliant Trees」に収録の1曲目「Pulling Punches」。そう、Steve Jansenが参加していたJapanのDavid Sylvianである。そのあたりのメンバーの確執とか精神面の変化とかは詳しい人が居ると思うので割愛させてもらい、単純に聞こえた音で勝負だ!
(前回の記事)
冒頭からのプレイがコチラ。
(0:00~)
一拍目8分裏のオーケストラヒットのアクセントや、クローズハイハットのアクセントが一風変わった位置にあって人工的な印象である。このような人工的パターンが曲の各展開(Aメロ、Bメロ、サビなど)ですべて計画的に作られており、一曲を通してかなり忠実に守られている。
そのあとBメロからのプレイがコチラ。
(1:02~)
4小節目、サビに入る前のタムとスネアのフィルインから、ミュート気味のチャイナがサビ頭で破裂ッ!(譜面上赤字にしているところ。)
まずは前回同様、ここでも力強いチャイナシンバルがただただ単純にカッコイイー!曲が展開する小節アタマがクラッシュシンバルではないところが、多くの歌モノ曲とは一線を画するところである。
その直後の譜面。サビの中に挿入されている4分の2が意表を突く!
タ、、、ドコ、、!!意表を突いたこの譜割りに、タムにアクセントで表情を付けただけのシンプルなフィルイン!センスある~。意表を突かれすぎて譜面上ピンク色にしてしまったよ。シンプルだからこそうま味がでてるな~これは。譜面上赤字にしているところのチャイナシンバルが如何に力強く破裂しているかにも留意!
当アルバム「Brilliant Trees」の他の曲を聞いてみると、細かいところまでかなり計画的だ(なかでも「Nostalgia」は特に著しい)。打ち込みでループさせているかのようだ。しかしループを本当に使いはしないのだ。きっとこれを生身でリアルタイムでプレイするのがSteve Jansenは好きなのだと思う。マゾヒスティックなのではなく、メディテーション。ループを打ち出すマシーンになりきって淡々と演奏し、彼は深い瞑想に入っていることであろう。
生物と無生物と Japan - Visions of China のあいだ
暮も押し迫り、2016年が終了しようとしているところ。個人的には極めて激動の年だったのだがあなたはいかが?先日の引越も無事に後処理が収束したので久々に。
今回は、暮れが押し迫っているのとはぜんぜん無関係に、きっとみんな懐かしい「Japan」のアルバム「Tin Drum」(錻力の太鼓)から「Visions of China」!
「Japan」がバンド名なのだよ!「アジアのどこか知らない国の名前がバンド名ってちょっとひねった感じがよくない?」などといいながら命名したのだろうか。そのあたりのエピソードが有るのかもしれないが一旦置いておこう。
さてドラムの方はどうかというと、Steve Jansenの熟考したプレイが、曲名のイメージ通りの中華風イメージを掻き立てている。コチラ!
(2:12~)
サウンドを聞く限り、生ドラムなのかどうか難しいところだが、微妙にゴーストノートが聞こえるので、おそらく人間が叩いているのではないかと推測している。録音した後で、何かそれっぽいオリエンタルなタムの音をかぶせているようだ。
この曲は何と言っても、チャイナシンバルが肝である。(楽譜で赤字にしているところ。)Visions of ChinaでChina Cymbalとはストレート過ぎるきらいもあるが、まさにイメージ通りの中華風サウンド。4小節目の4拍目裏と次のアタマのチャイナの連続2発がシンプルにカッコイイー!
そして、サビ後のAメロに戻るところ。サビ後に楽器が少なくなっていって、ドラムソロ的になるのだが、これがとってもスペイシー!(空間がある)
(0:57~)
ポコッポコ、ポコッポコ、ポコッポド、、、、、、、、、、、、、、、、
これは!せっかくAメロに戻るってのに2拍以上も何も演奏しない!スペースを活かしたセンスあるプレイである。無駄に叩かない。空間があるからといって埋めなくてはいけない道理はない!
当時この曲をよく聴いていた時期には、身近にチャイナシンバルが無く、またお金もなかったので、割れたシンバルと他のシンバルを重ねて試行錯誤してチャイナシンバルのような音が出る偽楽器を自作したのを思い出す。このサウンドにとても飢えていたのである。いま現在チャイナシンバルを担いで持っていって常時バンドで使っているのは当時の飢えを克服したことによるリバウンドだ。わたしのチャイナシンバルの使い方の原点はこの曲(とKing CrimsonのRed)にある。キミにもきっとあるであろう、そんな原点の曲が!